まさかと思ったら

696 : 本当にあった怖い名無し : 2011/11/11(金) 03:31:09.57 ID:YcDjMLU70
箱根は歴史も古く、多くの観光客で溢れていますが、最高峰の神山周辺は意外に閑散としています。 
無謀にも十五時過ぎに、大涌谷から登り始めて、神山から駒ケ岳へと歩いた時の事です。 

大涌谷に立つと頭上にそびえ立っているのが冠ヶ岳です。神山はその奥に隠れて見えません。 
展望台の横から登山道に入り、火山性ガスの危険地帯を抜けて、小一時間で神山山頂です。 
遅い時間なので誰にも会わないだろうと思っていたら、途中で子供の声がします。 
まさかと思ったら本当に子供。 

7歳?位の女の子が、祭りの晴れ着のような赤い振袖を着て、風車をふぅふぅ回しています。 

非常にあり得ない状況です。 
最初、何かの撮影かと思いましたが、すぐに違うと分かりました。 
できれば係わりたくなかったのですが、かと言って無視するわけにも行かず、 
仕方なく「こんにちは」と声をかけると、気の無い返事で「こんにちは」 
「何処からきたの」「あっち」「お父さんお母さんは」「いっしょ」「じゃあね」「ん」 

取り合えず、最低限の義務は果たしたので、早々に退散することに。 
神山山頂に親御さんがいるかと思いましたが、誰もおりません。 
一旦下って、鞍部の防ヶ崎分岐から登り返してすぐ駒ヶ岳。山頂のロープウェーで降りる事にしました。 
多分あの親子も、七五三とかで山頂の箱根元宮に参拝し、足を伸ばしたのでしょう。(ちょそれ無理) 

ところが、ロープウェーは強風で本日運休との掲示が。止むなく鞍部の分岐から直接芦ノ湖へ下ることに。 
途中で熟年夫婦と外人カップルに追いつきましたが、二組ともロープウェーの当てが外れてバテ気味。 
このままだと明るい内に下山できないので、お先に失礼して、何とか日暮れ前に県道まで降りました。 

熟年夫妻は自分とほぼ同じコースを歩いたそうですが、親子連れの事は知りませんでした。 
二人は冠ヶ岳にも立ち寄ったそうです。冠ヶ岳は女の子の居た所から分岐して、往復十分程の所にあります。 
実は自分も冠ヶ岳に寄るつもりでした。 
しかし、あの少女が「あっち」と指差した方向が、冠ヶ岳だったので…止めたのです。 

だって、もしあっちに行って誰もいなかった場合、その状況でまた少女の元に戻るのは、正直ちょっと怖いじゃないですか。 
冠ヶ岳には小さな鳥居と社があるそうです。

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