コースを外れた

583 : 名無し職人 : 2011/11/04(金) 18:25:08.55 ID:YZ6lEwDS0
お盆で実家に帰ることになった友人の話。 

お盆で実家に帰ることになり、墓参りを先に済ませていた 
友人二人と実家に泊まることにした。彼(以後A)の両親も快くOKしてくれ 
て、墓参りを済ませた次の日の夜。近くの山に肝試しに 
行くことにした。駐車場に車を止め、50m歩くと山の林道に付いた。 
本当は林道を一回りして帰る予定だったが、途中で獣道を見つけ、 
コースを外れた。 

A「道に迷ったんじゃね?」 
友人1「だいじょぶ、だいじょぶ、この道まっすぐ戻ればいいだけなんだからさっ」 
A「そろそろ帰ろうぜ?」 
友人2「連れないこと言うなよ。別にいいじゃん~♪」 
と言っていたとき。 

ガサッ 

と何かが近くで動いた。反射的に懐中電灯を向けると、 

それは軒高2m、体長10mはあると見える巨大な龍だった。 
「うわぁぁぁーーーーーー!!!!」 
とっさのことだったため、獣道ではなく左に向かって逃げてしまった。 
自分が何処を走っているのか分からないが、とにかく逃げるしかないのだと 
思っていた。後ろをふり返ると、猛スピードで龍は追ってくる。 
そして、足の遅かった友人1は、彼の目の前でバリバリと音を立てて足から 
食べられていった。 
友人1「うわぁぁ!!ひぃっひぃっ!!放せぇぇーー!!」 
グシャッバキッバキッブシュゥゥゥゥーーー 
龍は友人をかみ砕き、残らず食べてしまった。 
恐怖で頭が真っ白になり、もっとスピードを上げて走ろうとした瞬間。 

ボォォォーーーー!!! 

という音と共に自分の少し前を走っていた友人2に火がついた。 
龍が火を吐いたのだ。その後、爪で友人の首をちぎり、食べてしまった。 
必死で走り、走った。人間とは不思議な者で、いつもより長く速く走ることが 
できたそうだ。龍も必死で追ってくる。周りの木々が炭になったりもした。 
そして、遂に公道に出た。しかし、まだ追ってきた。車をそのままにし、 
走って逃げていたとき、どれぐらい時間が経ったのか、朝日が昇ってきた。 
すると龍は恨めしそうにこっちを見ると 
「クッ惜しい者よ・・・我が爪から逃れるとは・・・次はその命、無いと知れ!!」 
と言うと、自分では気づかなかったが、背中の翼で山に飛んでいった。 
家に帰り、母や父に話をしても、「そんな友人はいなかった」としか 
言われなかった。荷物もなく、友人の実家に電話しても「家に息子はいませんが?」という 
衝撃的な言葉しか返ってこなかった・・・しかし、爺さんだけは違った。 
「おそらくお前が見たのは、長寿に長寿を経た森の生物であろう。どんな生き物も 
長寿に長寿を重ね、千以上の歳を経れば、いずれは龍になる。猫も、犬も、鳥も・・・ 
あいつらは人間の存在の力を食らうと聞いたことがある・・・存在を喰われればどんな 
者でもその存在は根底から無かったことになるんだそうだ・・・」と・・・ 
彼はもう、その山に立ち入ることもなく、生活しているが、友人二人の死は、あまりにも 
残虐すぎたと言っている。 

終わり 

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