198 :本当にあった怖い名無し:2011/07/21(木) 06:52:56.27 ID:zum3ia9k0
5月の連休になると、ここらは県外の釣り人が押し寄せ釣り場に不自由する。 
そこで俺は新たな穴場を探し、朝から様々な沢を歩きまわっていた。 
その日は「小さな沢でも、登っていけば可能性はある!」と、 
護岸整備されてしまった沢を登って行った。 
10分ほど歩いただろうか?護岸整備は終わり可能性が見えた。 

沢の幅は15mほどで大きな石がゴロゴロしている。 
川幅は2m程だが魚は居ないであろうほど浅く、左右は高い木に囲まれており、 
何ともイイ気分になる景色に期待が高まる。 
沢のはるか先は右に曲がっている。そこから先の川幅が気になる。 
「川幅狭いのに、なんでこんなに開けていて、左右の林は急に大木なんだ?」 
あまり山に詳しい訳でもない俺は景色に不思議な感覚を覚えたが、釣り場を 
探す釣り人の心は10代の性欲の様に強い。 

見えていた右曲がりに差し掛かり、その先が見えた。 
巻き機山かな?そっちに向かって続く沢は、まだまだ浅瀬が続き落胆した。 
しかし、ここまで来た道のりを思うと引き返せない。 
「熊出たらどうしよう」 
「帰りもこの道のりを魚を腐らせずに持って帰れるのか?」 
「このまま小川で終わったら台無しだな。」 
と、色々なことで心細くなりつつも歩く。 

沢は多少くねりながらも、ほぼ直線。左右の林は均一の高さのまま続く。 
視線は先にあって欲しい深場を探す・・・はるか先の左の林に何かある。 
「岩?」 
10m近くあるであろう杉林の際に、林と同じくらい巨大な岩がある様だ。 
「ほかに岩も無いところに、なんであんな巨大な岩があるんだろ? 
もしかしたら、伝説とかあるんかな?」不思議なもの好きの心が躍る。 
「だいぶ歩いたし、あの岩のところで休憩して帰るか」 
急に心が折れ、釣りではなく岩を目標に変えた。 

岩まであと50m・・・キツネの死骸発見。 
キツネを至近距離で初めて見た。キタキツネとは違って汚かった。 
「エキノコックス!」と避けて歩く。 
林の密度は濃く、まだ岩の全体は見えないが、確認できる限り削った様に丸い。 
「何だ何だ!?早く全体が見たい!」足場の悪い沢を、残り僅かと走った。 
また何かの動物の死骸がある。 
「川原だから動物集まるんかな?」 
また動物の骨・・・ 
そしてまた動物の骨・・・かなりの骨の量だ。 

骨は岩に向かって(岩からか?)続く。 
岩の全体が見えてきた。本当に丸い。まん丸だった。 
「これは凄い場所を見つけた!今までこんな不思議な場所見たことない!」 
そう感動したのは一瞬だった。 
それまでは、あまりの巨大さに惹かれ、岩の上と自分の足元だけしか見ていなかったが、 
岩の付け根に1mくらいの穴がある。 

骨はその穴に続いていた。そして、穴の口には沢山の骨とカモシカの子供の 
死骸と半分骨になったキツネの頭、ウサギの耳があった。 
「これ、絶対に普通じゃない。大変な所に来てしまった・・・」 
動けなかった。 
「どうする??ナタしか持ってねーよ、戦えるのか?」 
穴を目の前に未だ動けないでいた。 
目の前にある光景に自分の未来が半分見えた。 

「この中にこれ食ったヤツ居るんかな・・・逃げてぇ。けどダッシュしたら 
追いかけてくるよな。」 
落ち着いて行動しなければと思うものの、恐怖が勝る。 
腰のナタに手を掛け、そーっと後ろ歩きで下がった。 
「どんなんがこれ食ったん!?てか、なして食わない獲物も捕獲してんの!?」 
もう恐怖に限界になった俺は一気にダッシュした。今までで一番本気で走った。 
「どうしよう!どうしよう!俺、食い殺されるん??」 

無事に戻ってこれたから、こうして書き込んでいるんだが、野生の動物で巣穴の 
回りに獲物の残骸や、食わない獲物を持ってくるヤツなんているのか? 
あと、この岩知ってる人いたりする? 

以上 オカルトでなくてごめん。

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