幕営地を探しながら

719 :本当にあった怖い名無し:2011/04/09(土) 15:18:14.67 ID:kIN7VGTY0
ずいぶん昔に、屋久島で体験した話を書きます。 
単独で屋久島の宮之浦岳を登ったときの事でした。 
縦走してその日の幕営地を探しながら歩いてたけど良い所がなし。 
その日は気に入った場所が見付からず結構歩いてしまった。 

小さなピークに立ったときに足元の岩に小さな慰霊碑があるのに気づいたんだよ。 
これから先の道筋に適地がないかと思い目をやると、眼下に小さい平坦地が。 
その場所に立ってみればテントを張るに最適な平坦地だったので、即座に決めてザックを下ろした。 
テントを張り終えて湯を沸かしてコーヒーを飲みながらさっきのピークに目をやると…一人の男が居るのが見えた 

しばらく様子を見てたけど、足元の方を見てたのは分かった。 
ちょっと目を離した隙に男の姿は消えてたので、すぐに自分の方に来るだろうと思いコーヒーを用意した。 
しかし、期待は裏切られていくら待っても姿を現さない。 

結局、男が自分の前に姿を現すことは無いまま、日没を迎えることに。 
食事を済ませたらすることもなくなり、色々と考えだした訳よ。 

一つが男のこと。 
ピークは縦走路にあってそのピークを反対側から往復しなければ、こちらに来るしかないこと。 
主だったピークではなかったから、自分と同じルートを辿るのが妥当じゃないか?って。 
大体往復するには中途半端はピークの位置だったりするし。 
自分が見た男は足元をずっと見ていて微動だにしなかった。 

もう一つが今居る平坦地。 
山中に何故こんな平坦地があるのかなぁ?ってね。それも長方形の形で。 
本当にテント張るために整地したような状態で不自然って言えば不自然。 
どちらも納得いく結論が出せないままに睡魔に襲われてしまい翌朝を迎えた。 

下山口からタクシーを呼んで運転手と話をしてたら気になることを言われた。 
昔は遭難者を山中で荼毘にした時代があり、そのために山中には荼毘場が存在したとか。 
どうやら自分が利用した平坦地がまさに「それ」らしいと。 

もしかしたら見掛けた男は、遭難者の幽霊だったんじゃないかと。 
確証はないけど不可思議な出来事のひとつでした。 

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