源さんのある日の猟
277 :顔 ◆3EgJTOI8PA :2011/03/29(火) 07:58:56.50 ID:CcbO7KZr0
じいちゃんの幼なじみの猟師から聞いた話
爺ちゃんの幼なじみ以後源さん。
一日目
その日はホントに何もとれなかった。犬を放しても足跡が見つかるには見つかる
が、川を横切ったり、足跡をピッタリ合わせて後ずさりして、全然動物が
見つからなかった。それと、すごく気味悪いものをみた。獣の骨だ。でも、
クチバシのようなものがあったので、鳥だと思った。だが、不思議なのが
白骨化したくせに妙にきれいでしっかりした骨だった。
その日はその骨しか見つからず、その日は山を下りた。
二日目
この日、源さんは山に止まる準備万端で、味噌おにぎりをたくさん持って行った。
しかしやっぱり何もとれやしない。
しかもまた、骨をみた、角と馬に少し似た骨格から鹿だと判断したが、また妙だ。
今回し四匹くらいいっぺんに骨になっているし、骨のある周りには、鹿の足跡が
ワラワラあった。あるで群れでもあったように。
その日は山小屋に入って犬と味噌にぎり飯を食って、寝た。
三日目
この日は朝早くから猟に出た源さん。この日は骨ではないが、今までで一番
気持ち悪いものに出会った、目は落ちくぼみ、体は皮だけになったような
不気味な鹿の死体だった。そして、そこで奇妙なものを見つけた。
長さが7~8メートルはある太い髪の毛が一本落ちていた。手に巻いて
犬にかがせたが、犬はクゥ~ンと鳴いて怖がるばかりだった。
しかし、あることに気づいた、毎回、毎回、最初に見つけた骨とは方向が
反対になっていること。つまり、最初に南側で遺骸が見つかれば、次の日は
北側、その次の日が南側、と交互になっている。鳥の白骨を見つけたのが
だいたい南側なので、明日は南側方面になると見当がついた。
その日はそこで切り上げ、持ってきた味噌握り飯を犬と食べて、早く寝た。
四日目
その日は朝の一時とかなり早い時間に猟にいった源さん。
そして、南側の岩の陰に隠れていた。十分ほどすると、ズドドドドドッっという
轟音とともにイノシシやら鹿やらヤマドリやらが一斉に逃げていった。
何かと思うと鹿の鳴き声、笛を吹くような鹿の鳴き声が上から聞こえる、
岩を挟んで自分と反対側から髪の毛のようなものがのびでている。その先に
鹿がぶら下がり、ヒューヒュー鳴いている。ほかにも長い髪の毛のようなものが出てきて
みている目の前で、鹿に髪の毛が巻き付いたかと思うと次にはミイラ化していた。
岩の間から猟銃で一発撃つと、低い声で、誰だ、という。黙っていると
岩の上に乗り、辺りを見回し始めた。岩の陰に隠れて、死角になっているので
見えていないようだった。そして、それをみるためにゆっくり顔を上げた。
驚愕した。髪の毛の固まりみたいなものに目がついただけの化け物だった。
恐怖からか、下から化け物に向かって銃で撃った。すると化け物は
「どこだぁ・・・どこにいる・・・居ないのか・・・流れ弾なのか・・・
致し方あるまい・・・去るならば・・・今・・・」
というとわさわさと髪の毛を木や石や岩にかけ、山の奥へと上っていった。
それっきりであっては居ないが。何だったのかが気になって仕方がないという。