親父らがよく行く山

298 :自治スレでローカルルール他を議論中:2010/10/14(木) 12:11:11 ID:yx5Wcig30
親父とお袋から聞いた話。 
親父は団塊世代で登山が好き。よく会社の人と近くの1000m級以下の低山に登りに行ってた。 
登山の整備がきれいになされている所や、頂上からの見晴らしが素晴らしい所、滝があるなど、 
見所の多い山は低山でも登っている人はたくさんいるが、親父らがよく行く山は、滝も何もなく、 
整備も良くない所で、日曜日でも人とすれ違う事はほとんどない所だった。 
半年位前の日曜日、親父とお袋、会社の友人とその奥さんの4人で、その山に登った。 
ダム脇の小さな産直市場の駐車場で野菜を買って、車を止めさせてもらい、脇に一目じゃ気付かないような山道を上がっていく。 
お袋が一言、産直市場のおばさんに駐車場の件で声をかけたのだが、その市場のおばさんも、 
「えー! この山のぼれるんかね!?」って驚く位、登山者に人気の無い山らしい。 

山道を少し上がっていくと、小さな祠がある。親父が言うには、いつ登っても(まあ大抵は土日だが)その祠の 
屋根、土台に落ち葉は絶対に落ちていないし、きれいにいつも掃除されており、蜘蛛の巣や虫が張り付いていた事など無かったらしい。 
しかし、その日は様子が完全に違っていた。屋根には落ち葉がつもり、祠のいたるところに蜘蛛の巣が張っていた。 
しかも良く見ると扉が僅かに開いている。(中は見えない程度)今までからは想像もできない変わりように、親父と友人は驚いた。 
何の祠か知らないものの、親父たちはこの山に登るときには、いつも手を合わしていたので、祠をそのままにしておくのも良くないと思い、 
軽く掃除をした。最後に祠の扉を閉めようとしたのだが、押し込んでもどうしても完全に閉まらない。祠の中を覗き込むのは気が引けたため、 
風では開かない程度に押し込み固定し、掃除を終えた。 

親父から俺が話を聞いている隣で、煎餅を食いながら聞き耳を立ててたお袋が「お母さんね・・・」と突然割り込んできた。 
祠に手を合わせ登っていくと木がうっそうと生い茂った、トンネルみたいな場所を通る。 
お袋と奥さんがそこで人の声のボソボソ話す声を聞いており、私らの他にも登山者がおるねって話した事を覚えているらしい。 
しかし、行きも帰りもまともに人が歩ける道が一本しかないにもかかわらず、山を下って駐車場に着くまで、人には出合っていない。 

「今、話聞いてて思い出したの。完全に頭から消えとった。ねぇ。」 
父が、なんで登っているその時に言ってくれんかったんよ?ってきつく言った。 
「えっ!?気づいとらんかったん?聞こえたすぐ後、○○さん(会社の人)と、二、三言話して、 
早歩きで前に行ったから、聞こえて確認に行ったもんと思っとった。」 
父が「そんな所では何も聞いとらんよ。あれは前に影が見えて、犬かなんかが這いよるみたいやったけん、 
追い払おうと思っただけ。まあなんにもおらんかったけど。」と言いい、 
また続きを話し始めた。 
母は、「何言いよるかは分らんかったけど、結構大きい声だったよ?なんで聞こえとらんのやろ。」って納得できない様子だった。 


頂上に着いて(頂上は一方向しか開けていない。)景色を見下ろしながら弁当を食べて、さあ食後のコーヒーでもって思っていた時、 
地震が起こった。横揺れの地震ではなく、沸騰している鍋のふたが下からボコボコ押されているのを、上から抑えつけたような小刻みに押し上げられるような感じ。 
「地震やしゃがめっ!!」ってコンロの火を消してしゃがんだとたん、 
「ヴぁわああああああああああーーーー!!!!!!」って、声か音か分らない凄く大きい地響きのような音が、 
前方(開けて景色が見れる所。崖と言うわけではないがきつい傾斜。)から聞こえてきて、ビックリしてポカーンとしていると、 
後ろの木が茂った森のすぐ近くからも同じような声が聞こえてきて4人とも気絶寸前。とりあえず。リュックの中に荷物を詰め込みあり得ないスピードで下山した。 

帰りに誰もが一言もしゃべらず必死に下山する中、会社の人の奥さんただ一人だけ祠に目が行ったらしく、 
帰りの車で奥さんに聞いた話では扉は全開になっていたらしい。 
不思議なことにお袋と奥さんは、地震はちょっと揺れたかな程度のレベルだったらしい。 
ちょっと揺れた位で慌てふためく親父と旦那を見て、山は土砂すべりとかで危ないんだと思ったと言ってた。 
でも親父が言うには火を止めないと、バーナーが転がってしまうほどの揺れで、少なくとも震度3位は有った。 
しゃがめと言ったのは、まっすぐ立ってられないほど揺れたからだって言っている。 
また、親父らが「ヴぁわーーーーー!!」って聞こえた声も、お袋達とは食い違っていて、 
最初の声は「あいごく!!たまXXX」後ろから聞こえた声は、「ぎゃーーー!!あすまか!!なふXXXX!!」 
(XXXは直後は思い出せたが今は忘れたらしい) 
と、はっきりではないが、叫び声の一部として聞こえたらしい。 

2日後位に気になって、地震速報を調べたが地震などは起こって無く、一帯の降水確率は10%だった。 
にもかかわらず、景色、情景を思い浮かべると、行きの車の中以外では、いつも薄暗い雰囲気しか思い浮かばず、 
雨こそ降っていなかったものの、曇りであったことは間違いないと、親父とお袋は言っていた。 

話を聞いて、その山についてインターネットで調べてみたが特に目立つ資料もhitせず。 
今度、暇がある時に、その地域の図書館とか郷土資料館に行ってみるつもりです。 
話を聞いた時に古戦場跡かなんかではと思ったが、そんな話親父は知らないって言うし。 

親父のリュックにはコンロの鍋のせが冷えてきっていない内に入れたため穴が開いていた。 
ちなみに最近、親父は登山はほどほどで、その友人と海釣りにこっている。 

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