鳥居の先

581 :本当にあった怖い名無し:2008/01/22(火) 03:36:53 ID:5GsJ6cOS0
俺の地元は山梨と長野の県境い。電車は1時間に一本しか通らない。 
しかも無人駅が多く、俺の知り合いは金がないときキセルするために無人駅で下りて、そこで発券して1時間くらい待って家に帰るというアホなことをする事があるらしい 
その駅というのが、花の名前がつく駅で某プリンタ製造メーカーが工場の従業員を効率よく通勤させるためにJRに作らせた駅で、利用者は少なく森の中にある寂しい駅だ。 

友人はその駅でいつもどおり降りて電車を待っていたが時刻表を見ると19:45まで次の電車はこない事が分かった。 
今の時間は18:30、あと1時間以上もまってるのは嫌になって散策に出かけた。 
その駅の近くには鳥居がある山があって、その鳥居は電車からもよく目立っていたが特に神社やお寺があるとは聞かないし、鳥居の先は森なの先が見えない。 
友人は暇つぶしにその鳥居の先にあるであろう神社を見に歩き出した。 

鳥居は近くいくとかなり大きく白い石で出来ていた。高さは5mはある立派なものだった。 
鳥居のそばには石碑が立っていたが古い文字で読めなかった。 
友人は鳥居をくぐり進み始めた、かなり広い道のようなものがずっと山の奥へ続いていた。 
日は落ち始めていたのであたりは暗くなり始めていた。 

その友人はアウトドア派でダチョウクラブのジモンのようにいつも何かしら装備を持ち歩いてる。 
俺もアウトドア派なのでそれで仲が良かったんだが、そいつはなんか危険なことをしたがる。 
その時もってた装備はsurefireと言って手のひらサイズのライトだが車のヘッドライトより明るいもので 
米軍やSWATとかに正式採用されてるライトだった1個2、3万する基地外ライト。 
こういうやからは、装備をもってるとそれを使うために無茶をする。 

今回もそいつは、普段の生活では使わないその強力ライトを使うために、暗くなるのにも怖がらずに喜んで進んでいった。奥に進むとその道は整備されていない事に気づいた。 
道幅は車が1台ゆうに通れるほどあったが、雑林が生えていて歩くのに苦労した。 
道の行き止まりまで来ても神社らしきものはない。 
もう日は完全に落ちていたので、彼は基地外ライトを取り出しあたりを照らした。 
右のほうに道が続いてるのに気づいた、その道はもっと上に向かっていた。 
強い光に勇気をもらい、TVゲームのようなシチュエーションに奴は興奮して、進む事に決めた。 

道はまだ広いままだった。 
よく道路を作る計画で木を伐採してそのまま計画が頓挫して放置された場所があるが、 
これもそうだと彼は思ったが、そう考えると、なぜ鳥居があるのだろうと考え始めた。 
あの碑文も気がかりだった。 
だいぶ進むと道が狭くなりだした、そして強力なライトに光るものが照らし出された。 
それは前方30mほどに木の間から、かろうじて見え隠れしていた。 
「ん?。。。」そいつはもう2本目のライトを取り出し両手で照射した。 
その時それが勢いよく木の上に、登ったか?飛んでいった?かとりあえず凄いスピードで上のほうに消えた。 
生き物である事は間違いないが、光を反射して異常な存在感を放っていた。 
初めてそいつはビビリ出した。 
あたりをそのライトで照らすと光を反射するものがそれだけではないことに気づいた。 

その道の右側は谷のようになっていて、そちらを照らすと同じような反射するものが3体動いていた 
「うヴぁぁ。。。」異様な雰囲気に、とっさに方向をかえ来た道を大急ぎで下り始めた。 
道は整備されてないため彼は木につまずきなんども転びそうになったが 
分かれ道に来たあたりで岩につまずき思いっきり顔から転んだ。 
顔に激痛「。。。。痛っ。。。」 
痛みを耐えながらじっとしてると、音が聞こえた。しかもかなり近くで枝が折れる音と、木の皮が剥がれ落ちる音。何かが木を移動してる事が分かった。 
ライトをそちらに向ければ何かがはっきりわかるだろうが、 
怖くてそう簡単にはいくはずもなく、それが離れるのを待っていた。 

少し立つと、音は離れていき、友人はライトをもってまた走り出した。 
顔の痛みと恐怖で、もうろうとしてたがようやく鳥居までたどり着いた。 
振り返らずにそのまま駅まで直行。時計を見ると時刻は19:30。 
駅の蛍光灯がもの凄く頼もしく感じ、ほっとしたとたんに顔の痛みが酷くなってきた。 
駅のトイレに行き鏡で見てみると傷はかなり酷く、血の気が引いたらしい。 

そいつの顔には、ほほから鼻にかけて傷跡が残ってるほど。 
それ以来、その駅でキセルをすることはやめたらしいが。 
その鳥居と石碑の謎は解けないまま。 
駅に降りなくても電車からも見えるので、山梨と長野の県境に電車で来たときは注意深く見てみて。 

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