アウトドア板にあった話

814:05/04(日) 14:49 YWJyVjhH0 [sage ] 
最近怖い話が出てないので昔のアウトドア板にあった古いネタでも 
張ってみる。 

「何だろう?」 
トール・キーザーが思わず声に出し、テントの中で体を起こした。 
「あれは何だったんだ?」 
キーザーを含む1992年アメリカ=ロシア隊がK2の登頂を目指して 
BC(ベースキャンプ)に到着したのはわずか数日前のことだった。 

まだ夜中で辺りは暗く、BCの空気はいつになく静かで、キャンプ地の外れの岩場 
を滴り落ちるせせらぎの様な音が聞こえるくらいだった。 
だが、キーザーの聞いた音は何か違っていた、全く違っていた。 
人の声だった。無線機で呼びかける声だった。 
「キャンプ4からベースキャンプ、聞こえますか、どうぞ?」 
何だ一体、また聞こえたぞ。 
アドレナリンが駆け巡って、キーザーはテントから飛び出した。靴下だけの 
足に石が冷たかった。辺りを見ると、同じ隊のスコット・フィッシャーも 
テントから出て、立ち上がって辺りを見回していた。二人は目を見交わした。 
二人とも何を耳にしたのか理解していた。 

「ありゃ、一体何だったんだ? 山の上にはまだ誰もいない、そうだよな?」 
「いる訳がない、一人も。」 

フィッシャーが囁くような声で返した。 
それっきりもう二度と聞こえなかった。だが、その声は一生、キーザーの頭に 
残ることになる。 
「キャンプ4からベースキャンプ、聞こえますか、どうぞ?」 
女性の声だった。イギリス人の声だった。キーザーは、その声を今でも耳に 
甦らせることができる。 

  Jennifer Jordan著「K2 Savage Summit」第6章「黒い夏」の終焉より 

「黒い夏」1986年夏にK2で起きた大量遭難事件。 
この年27人のクライマーがK2に登頂したが、13人が遭難死した。 
8月4日以降に7人のクライマーが第4キャンプで嵐が原因となって停滞を余儀なく 
され、生きてBCへ降りられたのは2名だけだった。 
その遭難者の中に第4キャンプで死亡したイギリス人女性が一人だけいた 



816:05/04(日) 16:33 ohtp+Bdl0 [sage]
死んで魂はもう成仏してるのに、場所やモノが記憶を持っていて 
延々それを繰り返し再生してる説があるけど、それだといいなあ… 
死んだ後もずっとベースキャンプを呼び続けてるとしたら悲しすぎる。 

K2とかミニャコンガなどの高山の場合、人間で結構怖い話があるよね。 
無線が故障しただけだったのに、死んでると勘違いした隊長がベースキャンプ引き払ってて 
やっとの思いで帰って来た先発隊ががっくりしてそこで死んだり、四肢切断の凍傷おってふもとまでたどり着いたり。 
親友と呼べるような人とでないと、隊は組んじゃいけないなと思った。 



818:05/04(日) 20:40 TSieQmkV0 [sage ]
>>816 
詳しくは語っていないけど、東海大学登山部だったか忘れたが 
日本のK2登山隊もK2登山の最中にかなり怖い体験をしたそうだ。 

それとK2第4キャンプで'86年に死亡したイギリス人女性は 
登山隊と一緒に登った山岳カメラマンの助手さんだったそうだ。 

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