後ろを誰かが

444 名前:場繋ぎ小話。 投稿日:2001/02/21(水) 01:30
場繋ぎに、ほんの小話でも。 

中学生のころのある正月、友人2人と私とで初日の出を見に行くことになりました。 
朝方の5時ごろ、日の出までまだ間があったので友人の部屋(2階)にとりあえずお邪魔、 
炬燵を3人で囲むことに。 
しばらくして家主の友人が階下にお茶を入れにいき、私は階下への階段を背にする壁側に、 
もう1人の友人は私の斜め前に座り、2人でぼんやりしていました。 
すると私の背後で人の足音が。 
とん、とん、とん、という音は、明らかに階段を上っています。 
「あー、えらい早いにお茶いれてくれたなあ…」と思い、家主の友人が部屋に入ってくるのを 
待ちました。しかし、足音がやんでも部屋のドアは開きません。 
「寒いのに廊下で何やっとんの…?」と思い、ドアを開けようと振りかえろうとしたとき。 
私の背後、つまり私の背中と壁との間を すっ… と横切る影を感じました。 
「今の何?」と思うと同時、「これは何か『コワイ』もんだ!」という、ぞっとする感覚が 
背筋に走りました。

しかし、ここでもう一人の友人まで怖がらせてはならないと思い、 
私は友人の方に向き直りました。 
「なあ、さっきな…」 
そのまま無理に明るく、友人に話しかけようとしました。 
しかし向き直った友人の方が、私の方をじっと凝視しています。 
「ど、どしたん?」 
と驚いて聞いた私に、友人が一言。 
「今、あんたの後ろを誰かが通っていった・・・。」 

そのまま2人で1分ほど固まっているところに、家主の友人がやっと 
階段を上がってきて 
「何あんたら無口になっとんの?」 
と不思議がられました。 
(勿論、足音は彼女の悪戯などではありませんでした)。 

今となってみるとたいしたことない話ですが、このときには正月気分なぞ 
銀河のかなたに吹き飛びました…。

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