襖をひっかく音


119 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/02/13(火) 13:28
僕の親友の小学校時分の話。 

今から二十年も前のある日。 
両親が共働きだった彼は、学校から帰ると一人、居間でテレビを見ていた。 
しばらくすると、玄関の引き戸が開く音がするので 
母親が帰ってきたと思った彼は、驚かせてやろうと 
居間の入口の引違い襖のそばにしゃがみ、足音がよく 
聞こえるようにと襖に耳を押しつけて母親を待ちかまえた。 
足音は玄関をあがり、板敷きの廊下を居間に向かって近づいてきて 
彼が身を潜める襖の前にきた。 
しかし、その足音は入口まできたものの、襖を開けようとしない。 
おかしいと思った彼は外の様子をうかがおうと、 
いっそう強く襖に耳を押しつけた。 すると 

……ガリ……ガリ……ガリ…。 

廊下の向こう側からゆっくりと爪で襖をひっかく音がする。 
驚いた彼はしばらくその場で硬直したが 
意を決して襖を開けると、ものすごい勢いで 
廊下を玄関に向かって走るハイヒールの音だけがした。 そうだ。 

その後彼は自宅で幾度と無く女の幽霊(?)に悩まされることになる。 
作り込みいっさい無しのほんとの話。

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