キャンプ場

528 :1/2 :2007/03/16(金) 11:04:30 (p)ID:jt1P/ipg0(2) 
当方、バイクでツーリングをするのが唯一の生きがい。 
去年の夏に念願の北海道へ行けたのだが、そのときの体験談。 

一週間の行程も半ばを迎えたその日、道東で一泊野宿をすることになった。 

そのキャンプ場は少し山間にあって見晴らしのいい場所であるらしいが、私が行ったときには霧も濃く眺望はまったく望めなかった。 

管理所へ顔を出し、一泊する事を告げると、何故か係員が訝しげな顔をする。 
しかも「自殺しないよね」なんて聞いてくるのだ。 

この人は一体何を言うんだ、と思って詳しく事情を尋ねると。 
「この間ここで自殺者がでたからさ。わざわざキャンプをしに来る人が居るなんて思わなかった」 
と言う。 
はっきりいって他のキャンプ場に行きたかったが、天候も相まって空はもう暗い。 
しょうがなくここで幕営することにした。 

居るのは自分ひとりだけ。幕営スペースの端は霧でまったく見えない。 
そんな状況の中、黙々とテントを組み立てて逃げるように転がり込んだ。 

しばらくはラジオを聴きながら食事を取ったりしていたが、それも終わると暇になってしまい、連日の強行日程も相まって居眠りをしてしまった。 

日付が変わったころ、シュラフに入らずに寝たおかげで寒くて起きてしまった。 
寝なおそうと思いっていそいそとシュラフに入り、目を瞑る。 
うとうとしてきた所でテントの外の物音に気が付いた。 
低い声で唸っているような音が聞こえる。 
グエェェ…… ヴエェェェ…… 
先の話もあって、一瞬で全身を鳥肌が覆う。 
これはウシガエルの鳴き声、そう思い込もうと自分に言い聞かせて夜を明かした。 

ちなみに故郷自体が田舎なのでウシガエルの鳴き声はよく分かる。 
比較的それに近いものであったのは事実なのだが…… 
よくよく考えればウシガエルは水辺から離れる事は殆どないし、北海道では一部生息していないハズ……

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