景清洞

562 本当にあった怖い名無し sage 2009/03/09(月) 18:41:51 ID:qjTziDag0
景清洞がらみの話をまとめた 

景清洞はその名の由来からも薄気味悪いよね 
10年程前に福岡から彼女を連れて秋吉台にドライブに行ったんだ 
関門橋を越える辺りから雲行きが怪しくなり雨も落ちてきたので鍾乳洞めぐりへと変更 

秋芳洞の駐車場は大型バスが連なり洞内も学生達が多く賑やか 
流れに押され洞内を満喫する間も無く秋芳洞を後にした 
  
「他にも鍾乳洞があるみたい」 
ガイドブックに目を落とす彼女が何と読めば良いのか尋ねてきた 
「景清洞(かげきよどう)」 
歴史好きでなくともnamcoの源平討魔伝で主人公だった平景清を知る人は多いだろう 
義務教育中はご多分に漏れず日本史に嵌った自分はその名を目にして心躍った 
  
食事を挟み景清洞に到着したのは午後二時ごろ 
だだっ広い駐車場に車が数える程しかいない 秋芳洞とは対照的だ 
雨の中を小走りに洞口へ向かう 一組のカップルとすれ違う際 
「怖かったねー」と話しているのが耳に残る 
  
入り口付近の案内板の縁起を薀蓄を交えながら彼女に語り洞内へ 
人が少ないのと雨天が重なったせいか盛夏なのにもの凄く寒い 
ライトアップはキレイで他の観光客もちらほら見かけるけど 
流れる水の音が聞こえるほど静かで秋芳洞では感じなかった異様な雰囲気 

壇ノ浦の合戦で落ち延びた平景清が配下の者数人と隠れたとされる洞 
しかし景清は全国各地に伝説を残しており当の本人がここへ落ちてきたのかは定かでない 
ただ遺物やその他の資料から破れた平家の者が隠れていた可能性は高いらしい 
  
思ったよりも規模が大きく起伏に富んだ景清洞を進むには結構時間が掛かった 
秋芳洞では落ち着いて撮れなかった洞内の写真も36枚撮りの32枚を消化していた 
踏破し終え洞の入口まで戻ってきた  
ノボリを携えた大きめの祠がある 入る時には案内板に気を取られたのか気付かなかった 
「写真を撮ってもらえますか?」と言うカップルにお願いされついでに 
自分達も祠の前に立ち、残ったフィルム分撮って貰った 
  
使い捨てカメラを現像に出していた写真屋でプリントを受け取る 
「ISO800なら暗い所でもキレイに写るんやね」 
と二人で洞内の写真の写り具合に感心しながら見ていると最後に撮った筈の写真が無い 
車内でフラッシュを炊いて真っ白になってるミスショットを含めて32枚しかない 
  
ネガを蛍光灯に透かして見ると最後の4枚は確かに祠の前で撮ったものだ 
が、何かおかしい 
ネガに黒い筋のような物が乱舞するように写り込んでいる 
「…あんな風にお祭りしてある所の前で撮ったらダメやったかな」 

彼女が脅えたので後日一人で写真屋を尋ねる事にした 
  
写真屋曰く使い捨てカメラを含め通常のプリントは外注に出すらしい 
店主がネガをライトボックスに照らしルーペで見てくれた 
「あんまり良い写真じゃないみたいね…たまにあるんよ」 
該当するネガを処分するか?と問われたけど好奇心もあり持ち帰った 
いつか現像しようと思っていたけど当時の彼女と別れて久しい今、 
自分の手元にネガは無い 

ひとつ気になったのは黒い筋は自分の写っている方に多く見られたことだ 
ネガで黒いから現像すると白い筋なのだろう 
母方が山深い土地に古くからある源氏の流れを汲む家系だってのも関係が? 
と言っても日本中の殆どの人が何らかのカタチで源氏の血を引いてるらしいし… 
  
でも結局は家系のせいだったのかな、と思ったり 
2,3年前に部屋の片付けをしてら当時使ってた財布が出て来た 
剥がれかけの色褪せたプリクラが痛々しい財布のポケットの中に御守り 
母方の親戚に配られた御守りには思いっきり源氏車の刺繍が入っていた 
  
御守りはいろいろ相性とかありそうだね

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