心霊スポット

582 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :sage :2005/08/13(土) 00:03:04 (p)ID:crb7DSBJ0(2)
友人の話。 

彼女は時々、変わった夢を見るという。 
と言っても特に内容が変わっている訳ではない。 
夢の中で気がつくと、彼女は実家の元自分の部屋に立っている。 
部屋の様子は記憶にある通りで、調度品などが手に取れる程リアルに感じられる。 
別に何かすることもなく、決まってウロウロと部屋をうろついて外を見る。 
これまた決まって大きな満月が天にかかっている。 
そして月を見ると目が覚める――そういった夢らしい。 

中学生になり実家を離れてから、この夢を見るようになったそうだ。 
どうせならもっと面白い夢がイイなぁ、と彼女自身は思っていた。 

大学生になってから里帰りした時のこと。 
久しぶりに昔馴染みと飲んでいるうち、肝試しをしようということになった。 
「かなりの率で幽霊が出る心霊スポットがあるんだよ」友人はそう言う。 
集まっていた皆がそういう類いの話を好きだったらしく、行こう行こうとなった。

件の友の話では、町外れの山にある古い大きな家がそのスポットらしい。 
満月の夜、部屋の中に透き通った女が出るのだと。 

まさかまさか、とドキドキしながら案内された先は。 
紛うことなく彼女の実家だった。 

「今日は出ないなぁ」「満月じゃないからじゃないか?」 
皆はそう言いながら、実家の窓を眺めている。 
「多分、それ私」という一言は、結局最後まで言えなかった。 

今でも彼女はたまにその夢を見ている。 
いつものように部屋をうろついて外に目を向けるのだが、最近は月を見る前に 
道路を確認するようになったという。 
時には、彼女の部屋をじっと見ている者がいるのだそうだ。 
「知り合いだったら嫌だなぁ」そう彼女はぼやいていた。 

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