道端に黒い猫がすわっているのを見つけた

713 :本当にあった怖い名無し:2009/07/30(木) 02:15:42 ID:DK7bpGcQO
猫で思い出した。

学生の頃朝刊配達してた時の事。
ある日、道端に黒い猫がすわっているのを見つけた。
かわいかったので、その場で屈み込んでチッチッチッと呼んでみたが、シカト。にゃ~、と呼んでみても、無反応。警戒してこっちをじーっと見てるだけ。
で、あきらめて立ち上がった瞬間、『ブッ』と屁をこいてしまった。
そしたらその猫、何故かメチャクチャ驚いて、道の反対側にダッシュした。つーか俺の方も『何故屁には反応する?!』と驚いた。
次の瞬間。
おっさんの乗ったカブが、思いっきりその猫を轢いた。ゴッ、と鈍い音がした…
即死でもおかしくなかったのだが、猫はまだ息があり、苦しそうに低くうなっていた。
おっさん、一旦止まって『うわっ…』とつぶやき、そのまま去ってしまった。
なんてこった。俺が屁をこいたせいで、この猫は轢かれちまった…こんなアホな原因で、コイツは死ぬのか…
俺は心の底から申し訳なく思い、黒猫を見つめていた。
だんだんうなり声が小さくなり、『死ぬな…』と思ったその時。

いきなり猫が猛烈ダッシュでその場から立ち去った。それもかなりの速さで。まさに疾風のごとく、一瞬で道の反対側にある建物のスキマに消えてしまった。
間違いなく、今死にそうだったのに…俺は呆気にとられ、なんかキツネにつままれた気分だった。
芝居だったのか、それとも最期に力を振り絞ったのか。今でもよくわからない。

唯一わかるのは、この話が大して怖くはないってことだ。

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