Kさんの夢

156 名前: << コピペ5話目 1/3 >> 04/01/23 15:32 
 98年10月、台風10号が中国地方を直撃しました。
事の起こりは台風通過の翌日18日の夜、私が見た夢。
夢の中にかつて私が「師匠」と呼んで慕っていた恩人で、2年前に亡くなったKさんが出て来た。
全身ずぶ濡れになって、生前私には見せた事の無いような困り切った顔で
「頼むから何とかしてくれへんかな?」
と言ってフッと消えたのです。
何の事かさっぱり判らず、翌日仕事中、夢の意味を考えていたのですが、
結局判らないまま次の晩を迎え、ベッドに入りました。
するとまたKさんが夢に出て来ました。
今度は顔を真っ赤にして
「あんたも相変わらずニブイ奴やな!人がなんとかしてって言うてんねんから、何とかしたらどないやねんな!」
と1人で勝手に怒鳴り散らして、フッと消えてしまいました。
流石に二晩連続で同じ夢を見ると(しかも相手の怒りはエスカレートしそう)気になるという以上に、
超常的なコトではないかとさえ思ってしまいます。

 悩んだ末、同じく大阪に在住するKさんの妹Yさんに電話した。
すると驚いた事に、Yさんも二日続けてKさんの夢を見たと言う。
二日目の夢の中で「何ボンヤリしてんねんな!」と殴られたとか。
「多分、台風のせいで何かが起きている」という事で意見は一致しました。
更に大阪では被害は無かったのだから、これはKさん姉妹と私の実家がある岡山で何かあったんだろう、という結論に達し、
Yさんに実家の状況を電話で聞いてもらう事にした。
 すると「台風の被害は甚大。
幸い家そのものには大した影響は無かったが、近くの川(旭川という川がある)は数十年ぶりに洪水を起こし、
裏山は鉄砲水や土砂崩れの被害があって、未だに入る事が出来ない」との事。
 Kさんのお墓は裏山の中腹にある。
幸いと言うべきか、その週の土曜に実家の岡山に帰る用事があったので、
Yさんとも相談の上で、とにかくKさんの墓参りをする事になりました。

 土曜日、Kさんの実家に向かい、Yさんと合流後、Kさんのお墓がある裏山に登りました。
洪水の跡があちこちに見受けられ、墓地への細い道も所々で寸断されています。
時折前触れ無く踏み締めた地面が崩れたり、とスリル満点な登山になってしまいました。
Kさんのお墓の前に立った時、私もYさんも言葉を失いました。
 墓石だけが、完全に吹き飛ばされていたのです。
 土台の方は問題無かったのですが、墓を開いて石室の中を確認すると、
石室の底から10cm程水が溜まっていたので、すくって出しておきました。
墓石は、2人で持ち上げるのが精一杯、とても元通りにする事は出来ません。
仕方なく一旦山を降り、Yさんのご両親に相談する事にしました。
近所の方も集まってくれて、総勢10名程で再び山に戻り、墓石を元通りに直す事が出来ました。
私は仕事の都合でその日のうちに大阪に戻ったのですが、
Yさんによれば、翌日、お坊さんを呼んで供養してもらった、との事です。
 以来、Kさんは夢には出てきて居ません。

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