老人達と穴

149 名前: << コピペ2話目 1/3 >> 04/01/23 15:23 
友人と2人で車でスキー旅行に行った帰り、 
真夜中3時過ぎ、東北の某村を近道して 
通り抜けようと車を走らせていました。 
土地勘が無い上に街灯の無い真っ暗な道で2人共かなり不安でした。 
両脇の畑は残雪で真っ白でした。 

不意に脇から松明を持った老人が何か叫びながら 
私たちの車に向かってくるのが見えました。 
老人の表情が尋常で無いのが怖かったのですが、 
何を言ってるのか聴く事にして車を止めて窓を開けました。 
方言で聞き取りにくかったのですが、 
怒った口調で先に行くなと言ってるようでした。 

しかし今から来た道を戻る気になれなかったので、 
どうしてこの先に行けないのか聞き返しました。 
ですが老人はこの先に行くなの一点張り。 
こちらも意地になって窓を閉めて車を発進させました。 
するとまたその先で松明を持った別の老人が雪原から現れました。 
同じ事を言われるのがイヤだった私たちは車を止めずに行き過ぎました。 
ところが今度はいきなり道が無くなっています。 
急ブレーキで止めた車のヘッドライトの光線は何も照らし返すことなく、 
ホントに漆黒の闇です。 
何事かと思い2人で車を降り立って見た光景は信じられないものでした。 
凄まじくデカイ穴が雪原に開いているのです。 

その穴はクレーターの様な形で、穴自体には残雪がありませんから、 
昨日今日に出来たような感じです。 
底には鳥居が立てられて、鳥居の廻りで松明を持った数人が 
何か儀式らしい動作をしています。 
2人共、同時にコレはマズイと感じて 
大急ぎで車に乗り込み、もと来た道を戻りました。 
道の途中で十数人の老人がこちらを睨み付けている横を通り抜ける時には 
ホントに冷や汗が噴き出しました。 

山を1つ越えて街灯の灯った町中に入った瞬間に 
友人も自分もやっと口が開きました。 
後日あの穴は何だったのか確認しようと昼間同じ村に出かけたのですが、 
穴は無く道も全く途切れていませんでした。 
ただゴルフ場を作る工事の告知の看板だけがそこに有りました。 

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