後○○年・・

535 1 2006/01/29(日) 23:39:08 ID:7+DrNsUB0
幼稚園のころ、昼寝の時間に、となりで寝ていたK君が寝言を言った。
K君の声ではなく、大人の男の声でだ。
「あと十八年」
半年後にK君は病気で死んだ。

小学生のとき、町内会主催で山でキャンプをやった。
真夜中、同じテントのM君が寝言を言った。
M君の声ではなく、大人の男の声でだ。
「あと十二年」
二年後、M君は川で溺れて死んだ。

中学生のとき、小学生の弟が部屋で寝ていて寝言を言った。
弟の声ではなく、大人の男の声でだ。
「あと八年」
弟は通学途中の道路で、トラックに轢かれて死んだ。

高校生のとき、老衰末期で入院している祖父を見舞いに行ったら、
ベッドで昏々と眠り続けている祖父が、ふいに寝言を言った。
祖父の声ではない、男の声でだ。
「あと五年」
その後めずらしく、うっすらと目を覚ました祖父にそのことを話すと、
祖父は最後の命をふりしぼるように告げた。

三百年ほど前に、自分たちの家系に強力な呪いがかけられた。
その呪いが、どのような理由でかけられたのかも、
いつ、どのように現れるかも、伝わっていない。
ただ、その呪いが現れる前には、なんらかの前ぶれがあって、
ひとたびその呪いが現れれば、とても恐ろしいことが起こるのだ、と。

それを告げてから二週間後、祖父は息をひきとった。

それから、五年後の日が来ることに、俺はおびえ続けてきた。
その日がいつか確かなところは解らないが、日がたつにつれて、
不安はどんどん大きくなってきている。
万一のときのために、これまでの経緯を残しておこうと、
俺は今、PCに向かっている。

今、気がつくと、部屋の四つの隅に、K君、M君、弟、祖父、がそれぞれ
立っていて、俺をじっと見つめている。

とりあえず書き込んでおく。 

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