山中のモノリス

864 : 本当にあった怖い名無し [sage] 2011/10/01(土) 18:36:26.97 ID:CUZH+36m0
10年くらい前、母方の祖母が寝たきりになって、祖父が仕事に行ってる間
自分が食事の用意とかしに行ってた。
祖母は寝たきりって言っても足腰立たないだけで、頭と口は達者だったし、
一通りの家事を済ませたら夕飯の用意まで時間あるし、で、空いた時間見ては
祖父母の家のチビ太(パグ)連れて歩き回っていた。
パグってあれで結構タフな犬で、若犬なら2時間3時間平気で歩く。
その日もチビ太と、隣の集落まで山を越えて行こうと、もう身体に刻み込まれているルートを
辿ってった。(帰りは川沿いの県道を辿る腹積もりで)
秋ももう終わりの天気の良い日で、チビ太も自分も調子よく歩いてた。
違和感に気付いたのは、下りのルートに入った頃。
なんて言うのかな…耳鳴りになったみたいに周囲からの音が感じられないというか、
空気が重くなったような感じ。
上の方からその重圧感が迫って来るようで、知らず知らず下りの足は速くなって行ってたように思う。
『とにかく山から抜けなきゃヤバイ!』 何故かはわからないけどそう思って、一刻も早く降りようと
山道を外れ、道の無い雑木林の中をとにかく下へ下へと突っ切ってった。
斜面を突っ切って、少し平らに開けた場所に出たとき、その「屋根型に組み合わされた二枚の大石」
に出くわしたんだ。

高さは人の背丈くらい。 細部に関しては記憶が曖昧なんだけど、自然石ではなかったと思う。
今思うと、片方は自然石で、それにもう一枚を寄りかからせたものなのかも…とも思うんだけど、
どちらも表面が平らに削られてて、屋根で言ったら褄(つま)の部分に、○に梵字のようなものが
彫られていたのを覚えてる。
でもその時はそんなのどうでもよくって、とにかく先を急ぎたかった。
そしたらチビ太のヤツが、その石組の中にちょっちょこ入ってって、あろうことかウンチングスタイルをとり出したw
いろんな意味で『ヤバイ!!』と思い、大慌てで屈みこむと中に入ってチビ太を抱き上げた。
意外にすんなり抱っこされたチビ太を抱えて、石組の中にいたのは数十秒がとこだったと思う。
その石組から出たとき、あの妙な重圧感と焦燥感はきれいさっぱり消えていた。
さっきまでは聞こえなかった(はず)車の走る音や、いろんな生活音、自然音も聞こえてきていた。
そこから少し下ると山道になり、拍子抜けするくらいあっけなく、県道に出ることができた。
(最初の目的だった県道への出口から、500mくらい離れた場所だった)

ムダに長くなってしまったけど、これだけのことです。
あの場所へもう一度行ってみようみようと思いながら、おっくう半分、怖いの半分で行かないまま。
祖父母もチビ太も亡くなって、家もなくなって…なんていうのかな、縁が切れてしまったような感じ。
でも、また探しに行ってみようかなー、とか今ちょっと思い始めてる。
お付合いありがとうございまんた。

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