ヒル

124: 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 2006/07/03(月) 23:00:47 ID:Zveob40M0
しめ縄の巻かれた大木が一本。 
近くに神社があるわけではない。 
しめ縄は、不自然なほど新しい。
不自然なものは、他にもあった。 
ヒルだ。 
だいだい色に茶色の縦縞。 
長さは10センチほどだろう。

幹には、そいつがいくつも貼り付き、 
丸々と膨れている。 
何匹いるか数えたが、30でやめた。

見回すと、ヒルが貼り付いた木は、これだけだ。 
しめ縄にためらいながら、ヒルをつまみ、 
目をつぶり、引き剥がした。 
何を吸っているのか、引き剥がせば分かるような、 
そんな気がしていた。

ヒルの口から、細く、赤い血が垂れた。 
身をよじり、ヒルは俺に吸い付こうとしていた。
見上げると、ヒルのうち何匹かは細長くなり、 
膨れた背は縮んでいるように見えた。 
吸っているのはヒルではなく、大木の方だと気付いた。

ヒルから血を吸い取る神木。 
大量のヒルをもう一度見つめ、誰が、あるいは何が 
ヒルに血を供給しているのだろうと思った。

しめ縄に触れ、そっとそこを離れた。 
腕にヒルが食いついていた。 
そいつを引き剥がし、投げ捨てた。

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