シロ

198: ヘタレハンター ◆aoV/Y6e0aY 2006/08/08(火) 00:18:54 ID:FtIyjvcI0

先輩ハンターから聞いた話です。

シロという猟犬を相棒にして、何猟期も山を駆け回った。 
よくできた犬で、一人一狗の猟をしていても、まったく不便がない。 
俺のいる位置を察知して、獲物を追い出してきてくれる。

あるとき、せっかくシロが追い出してくれたイノシシを失中で逃がしてしまった。 
後から出てきたシロ、尻尾を振って獲物は何処?と先輩の顔を見ていたが 
すぐに事の次第に気づいたらしい。 
『ヘタクソ』 
確かにそういった。間違いなくそういった。 
『ごめんな』としかいえなかったそうです。

其のシロ君、16歳で天寿を全うしました。 
最後の二年はその人の庭で余命を悠々と。 
其の最中に二度頭をなでたのもいい思い出です。 
今は思い出の山中に葬られているそうで。

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