蛇の池

11: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2006/08/07(月) 00:45:48 ID:hUd7sg6j0

同級生の話。
彼の住んでいる地方の山には、「蛇の池」と呼ばれる池がある。 
大蛇が潜んでいるという伝説があって、一昔前には目撃者も結構居たそうだ。

池の上には、切り出した材木を運ぶためのモッコが走っていた。 
モッコとは綱で編んだ籠のことで、これを滑車で吊るして動かしていたとか。 
時折その籠から池に落ちる物があった。木っ端とか道具とか、その他諸々。

そういった落下物は翌朝、必ず池端の土手の上に、投げ出されていた。 
大きい物も小さい物も区別なく、池に落ちた物は水の外へ。 
大体がちょこんと優しく置かれているのだが、金物の類いが落ちた場合は別で、 
池から随分と離れた場所に突き刺さっているのだという。 
まるで力任せにブン投げられたような感じで。 
卵が落ちた場合は真逆で、絶対に殻一つさえ浮いてこないのだとか。

「蛇さんは 金物が大嫌いで 卵が大好き」 
蛇の池のためか、彼の地元ではそういう認識が当たり前だったそうだ。

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