プリングルスのおじさん

113 : 小澤 ◆qZEv/FXpEI [sage] 投稿日:03/07/19 05:37
小学生時代の話です。 
僕の学校の通学路にはプリングルスのおじさんと呼ばれる、 
顔がパンパンに腫れたおじさんがいました。 
おじさんは少し知恵遅れなのかな?と思われる 
新太君という15歳くらいの子供を連れていました。 

おじさんは通りがかる小学生に向かっていつもこう話しかけます。 
「この子と握手してくれないかな?」 
大抵の子は気味悪がって逃げてしまうのですが、 
僕は子供心になんとなく新太君に同情して握手をしました。 
「いい子だね」 
おじさんが本当に嬉しそうな顔をしたため、僕も良いことをしたと嬉しくなりました。 

次の日、おじさんと新太君はいつもの場所で待っていました。 
「この子と握手してくれないかな?」 
僕が昨日と同じように手を差し出し握手をすると、ものすごい激痛が走りました。 
新太君は手のひらに画鋲のようなものを忍ばせていたのです。 

「君のことだけは許せないんだって」 

おじさんの冷静な声が響きます。 
なんで?同情の裏の優越感を見透かされたのか・・・ 
僕は瞬間的にいろいろな事を考えました。 
でも、こんな仕打ちをしなくたって・・ 
助けを求めるような目でおじさんを見ると、おじさんは申し訳なさそうな顔でこう言いました。 

「おじさん新太に、君が息子だったらよかったのにって言ってしまったんだ。」 
「新太~。ごめんな~。ごめんな~。」

僕はその後泣きながら学校に駆け込み、先生たちに一部始終を話しました。 
事件はすぐに校内放送で全校生徒に知らされて、 
先生達も数人で見回りに当たるなど緊張した雰囲気が漂いました。 
プリングルスのおじさんはそれ以来姿を消してしまったのですが、 
かわりにこんな噂が立ちました・・ 
「新太君は病気をうつすために握手してたんだって。」 
この噂はわりと最近まで僕を悩ませました。

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