ミツ

321 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :04/02/01 20:56
先輩の話。 

彼のお父さんの実家は山奥の小村で、すでに廃村となっている。 
そこの村人の多くは、狩猟で生計を立てていたそうだ。 
狩人たちは獲物を正式な名前で呼ばず、村独自の呼び名を付けていた。 
鹿や兎などはヨツ、猿はフタツ。猪だけは別格で、クジラと呼ばれていたらしい。 
鳥には特別な呼び名はなかったそうだ。

ある早朝、お父さんの家に村中の狩人が集まったのだという。 
何やら深刻そうな顔で打ち合わせをし、皆で山に入っていった。 
お父さんはまだ幼かったが、唯一つ憶えていることがあるそうだ。 
「ミツが出た」
この台詞がくり返し述べられていた。 

夕方、山に入った狩人が帰ってきた。 
猟は成功したらしいが、なぜか獲物を誰も下げていなかった。 
皆返ってくるなり、塩をまいてお清めをした。 

それから間もなく、村人は村を離れ始めたという。 
村が廃れるまで長い時間はかからなかった。 

あの日、狩人たちが何を狩ったのか。
お父さんはずっと気になっているのだそうだ。 

329 :あなたのうしろに名無しさんが・・・:04/02/01 22:37
>>321 
名前の由来は 
鹿・兎→四本足→ヨツ 
猿→二本足→フタツ 
猪→おかくじら→クジラ 
鳥→足をつかず飛ぶ→名前なし 
ですかね?

これにのっとれば、ミツは三本足の何かなんでしょうが、一体なにやら・・・。 
三本足といえば、日本神話の八咫烏や、中国神話の三本足の亀なんかが思い浮かびますが、
ミツは何か獣系の感じがしますね。

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