タイの山奥

534 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2013/04/08(月) 19:03:36.02 ID:HmoRQwfq0
私の体験した話。 

団体の事業でタイの山奥に行った時。 
村長の家で宴会となり、夜遅くまで大勢の日本人とタイ人が唄って騒いでいた。 
酒が呑めない私はグデグデになり、一人でホームステイ先の家へ帰ることにする。 
フラフラと歩き出したが、そこは酔っ払いのこと、まともに歩ける訳がない。 
階段に向かわずに、高床の段差から足を突き出すと、そのままパッと真下に消えてしまったらしい。 
「あぁ、落ちた!」と仲間が慌てて、一メートル以上は低い土間を確認したが、 
そこには鶏が走り回っているだけで、私の姿はもう見えなかったとか。 

心配した仲間の一人がホームステイ先を尋ねると、私が蚊帳の中で大の字になって爆睡していたそうだ。 
「真っ暗だったっていうのに、よく川にも落ちずに帰れたな」 
翌朝、目が覚めると口々にそう言われた。 
村長の家からホームステイした家までの間に、かなりの幅のある川があったのだ。 
蔓で出来た吊り橋を渡らなければ戻れないので、確かによく落ちなかったものだと自分でも思った。 
一生懸命記憶を辿ると、誰かに手を引いてもらって誘導された憶えがある。 
ただ、それが誰なのかは結局思い出せなかった。 
現地の村人やスタッフに聞いても、誰もそんなことはしていないという。 

その村にはもう二日滞在する予定だったので、それ以上気にしないように努めた。 
考えすぎると、何か怖いことを思い出しそうな気がして。 
事業は無事に終わり、私もそれ以上変わった体験はしなかった。 

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