影のかたまり

374 :本当にあった怖い名無し:04/08/15 04:58 ID:5KTe/X4C
霊の存在を否定はしないけど、幸い今まで怖い体験を一度もしたことが無かったから 
特に信じている ということはなかった。 
死ぬほど怖い話の保管庫とかは興味半分で読んだり、 
TVの特集なんかは好きで見てしまうほうだった。  
だから、まさか俺が なんて思わなかった。 

先ほど(午前2時過ぎ)コンビニへ弁当を買いに行った帰り道、 
目黒通りで信号待ちをしていた。 
真夜中で車の流れがほとんどなく、歩行者用信号は赤だったけど俺は渡り始めた。 
中ほどまで歩き、全く車がいなくて遠くまで見通せる車道が珍しく、 
ある種別世界的な感覚に包まれて横断歩道をノロノロ歩いてた。 

横断歩道を渡りきる直前に、「こっち側」でも信号待ちをしてる人がいたことに気付いた。 
その人は横断歩道の端っこに立っており、俺はもう片方の端っこ(自転車横断帯側)を歩いていたので 
少し距離があった。 
何となく視界の端で見た限りでは、何か黒っぽい服を着た女性のように思えたが、 
全体がぼんやりとモヤがかかったように、影のかたまりのようにも見えた。 
不思議な違和感を感じて、顔をややそっちのほうへ向けて見ても 
信号の支柱の影のせいか暗くて顔が分からなかった。 

するとその「影のかたまり」もこっちを向いたような気がして、ん?と思っていると 
「フャーゥ」と声を出した。 
何?鳴いた?猫の鳴き声?と不思議がってると、「影のかたまり」はすぅーっとこちらに近づいてきた。 
その瞬間、体中の毛がブワッと逆立つような鳥肌が立つような感覚に襲われ、 
コイツはヤバイと思い、反射的に猛ダッシュした。背後で「アーゥ」という、やはり猫のような声が聞こえた。 
気持ち悪さを抑えつつ暫く走り、アパートに近づく頃には早歩き程度になっていた。 
目の前の角を曲がるとすぐアパートの入り口がある所まで来て、正直ホッとした。 

角を曲がった瞬間、息が止まった。 アパートの門の前に黒猫がいた。 
再び体中の毛がブワッと逆立つような鳥肌が立つような感覚に襲われたが、 
元来動物好きなため、不気味さはあったが猫を邪険に追っ払うというよりは 
「チッチッチ」と舌を鳴らしてそっと近づいて「どいてもらう」方法をとった。 
一旦はスッとどいたが、すぐに同じ場所に戻りこっちをジーッと見ている。 
さすがに気味悪くなり、持っていたコンビニ袋でガサガサ音を立て追いやると、 
アパートの横に逃げ込んだが尻尾が見えてる。 
ふと気付くと、隣家との境のブロック塀の下側が通気のために穴あきのものになっており、 
そこから俺を睨みながら「フャーゥ」と鳴いた。 

その瞬間、さっきの「影のかたまり」の事を思い出し、慌てて家の中(1階)に入った。 
ドアに鍵をかけた瞬間、外側でゴソッという音がしてカリカリと引っかくような音がし始めた。 
足元ではない。肩の高さの辺りだった。ドアの外には何も台になるようなものは置いていない。 
猫だったらあり得ない高さだ。恐怖心に駆られ部屋のほうへ逃げ込んだ。 
部屋の突き当たりにあるガラス戸の戸締りを確認し、カーテンを閉めた。 
直後、ガラス戸の下の方(デコボコして曇りガラスのようになっている)をガリッガリッと 
引っかく音がする。 
ドアの方では相変わらず高い位置でカリッカリッと引っかく音がしていた。 


TVをつけ、やや大きめの音で気を紛らわし、震える手でなんとかこの文章を書いているうちに 
いつの間にか音は引っかく音は消えていた。 
俺、今日の午後お見合いがあって、ほんとは違う板に書き込む事を考えてたんだけど、 
まさかこっちに先に書くことになるとは思わなかったよ。 

皆さんの話に比べて全然怖くない上に、長くてスマンコ。 

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