知的障害者の母が、夜の街角で春を売る話

297 :猫ゴキ野郎:04/08/11 21:57 ID:22Rb/pvQ
久々にいってみようか、えぇ~タイトルは知的障害者の母が、夜の街角で春を売る話。
まず俺の住んでいた団地は最低の人間達が住んでいたのは以前にも話した通りだが、俺が小学生の頃に近所の別の棟にKという女が住んでいた。
頭に毛が無くて、いつも帽子をかぶって学校へ来ていた。勿論俺とKは校舎の廊下などではすれ違うことも無く、Kは大体の雰囲気で察すると同じ小学校の特殊学級に通っているらしかった。
Kのお母さんは結構良い車に乗り、金回りが良さそうだった。
そんな頃は家族三人だったのだろうが、その内にどういう理由か夫婦は離婚して(知的障害者の娘Kが原因なのか?その辺は不明)女で独りでKを育てているしっかりしたお母さんというのが印象だった。
俺の知る限りそのお母さんは、こんな暑い夏の盛りには、決まって近所のどの家にも無いような大型の組み立て式プールを団地の草の生えた庭に展開し、4~5階の高さからホースをだらんと地上に垂らし、そこから水を供給してKを遊ばせていた。
小さな自転車にまたがり、そこに通りかかった俺は「すげぇ」と圧倒された記憶がある。みんなもうらやむ子供だった。
俺が後から考えると、これがKのお母さんが、Kにしてあげられる精一杯のことだったのかなぁとも思う。 

月日は流れ、俺や同年代のガキ共がスーパーでアルバイトをしたりする年齢になっても、Kは相変わらず帽子をかぶって路線バスに乗って、そっと何処かへ行ったりしている様子だった。
数年経ったそんなある日、俺は友達と夜の繁華街で自動車に乗って、女の子をナンパしていた、
すると、カラオケ店のPの前で別の仲間と偶然に合流し、そこで「一緒に飯でも食って騒ごう!」という事になった。
勿論ナンパ行為も込みである。
すると、何処かで見たおばさんが道行く人に「春いりませんか?」と言って声をかけて回っている姿が俺の眼に飛び込んできた。
その姿は間違いなく、いつか団地の庭で見たKのお母さんである。
ナンパに意気込んでいた俺は、その瞬間になんともやるせない気持ちになった、、、、。 

肝心のKはそんな事を知ってか知らずか、今日も灰色の団地と向き合って、剥げたアスファルトの道路を、道行く人に混ざって往復しているんだろう。 
故郷を離れて10年近くになる俺には、団地の事情はよく聞こえてこないが、ふとKはもう結婚したんだろうか?なんて思ってしまう時がある。
保育園では共に遊んだ子供だった俺とK.。今は障害者同士が押し込まれた施設or職場か何処かに押し込まれているのかも、、。
まぁ俺も含めてだが、あの団地の連中は、おしなべて不幸とダンスしながら、生きて行くように運命づけられているのかもね。
障害者で無い俺には分からないけれど、決して障害なんかに負けないで欲しいよ。 

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