ジョギング

103 :名無しさん:2008/09/15(月) 22:01:19 ID:/uyzbKmE0
鹿児島県に住んでいる者です。
ちょうど1年前の今頃、体験した事で怖い事がありました。

私の住んでいる所の近くにある運動公園があります。
2方を山で囲まれ、テニスコートや体育館、競技用トラックなどがある普通の運動公園です。
そのころ私は太り気味で、真剣に「痩せなくては…」と思っていて、ダイエットのため一ヶ月ほど前から夜中の11時頃からトラックの外周を走っていました。
その日もいつもの様にジャージに着替えて運動公園までジョギングし、トラックの前で準備体操をしていました。
しかし、トラックの様子がいつもと違います。
「なんか変だな…?」そう思いつつも体操を終えてスタート地点に立ちました。

そして何時ものようにトラックの外周を走り出し、最初のカーブを曲がった時、
違和感の正体に気づきました。
「ん?証明が一つしかついていない…」
そう、昨日も同じ時間に走っていたので分かりますが、トラックの直線上にいくつか点灯しているべき照明が手前の一つ以外消えていたのです。
「故障かな?」疑問に思いつつ、取り合えず一周走りました。しかし、どの照明も点灯しておらず、トラックは暗闇で染まっていました。
そらは曇っていて、月は出ていません。唯一の光源は入り口近くにある自動販売機の光くらいでした。

おかしなこともあるもんだ…。霊や超常現象など信じていない私は気にせず走り続けました。
5~6周走った位でしょうか?ふと背中に視線を感じて立ち止まって振り返りました。
しかし、あたりは暗闇。多少は目がなれてきたとは言え遠くまでは見えません。
「気のせいかな?」とりあえず、いつも10周がノルマだった私はまた走り出しました。
すると今度は、
(パカッ、パカッ、パカッ…)
背後から不規則な「パカッ」と言う音が聞こえてきました。

この運動公園はトラックを走るときは必ず右回りをするように距離の数値が書かれていて、スタートラインから走ると、必ず右回りになります。
「私と同じようにこんな時間に走る人がいるんだなぁ…」と背後から聞こえてくる足音を気にもせず走っていましたが、それにしても不規則な足音です。
まるで、馬の足音のような…

しかしここは運動公園で夜中の12時を過ぎています。馬なんかいるわけありません。
おそらく二人組みで走っているのだろうと思ってとりあえず6周目を終えて7周目に入りました。
その時、それまで聞こえていた足音が急に早くなりました。
(パカラッ、パカラッ、パカラッ)
恐らくゴールが近いのでスパートでもかけたのだろう。そう思って、私はマイペースで走っていました。
でも、足音はゴールを過ぎ、カーブを曲がっても早いままです。トラックの直線を走っている私の後ろから
どんどん、どんどん足音が聞こえてきます。
その時になって私は恐怖を感じ始めました。とても靴でトラックを走っている音ではありません。
だって、トラックはゴム製のものです。こんな足音はしない……。
そう思った瞬間、私は全力で走り出しました。しかし、直線を過ぎてもカーブを曲がってもあの音はどんどん近づいてきます。
―最後の直線。自動販売機の人工の光源目指してわき目も振らず全力疾走しました。
到達したとき、ふいに右肩を黒いもやもやしたものが通りぬけて行きました。
「うわっ!?」
右肩が自分の意思とは無関係に前に引かれ、片足でよろけつつ前を見ると、―真っ黒な馬の尻が見えました…。
その上には真っ赤な鎧をつけ背中に無数の矢が刺さり、首から上が無い状態の侍がのっていた。
ほんの一瞬コンマ何秒だと思う。侍を乗せた馬はそのまま目の前のコンクリの壁に突進し、吸い込まれていった。

今でも思い出す事が出来る。あの右肩を何かがすり抜けていく感覚…。
ただの幻覚だと思いたいが、自分ひとりでは右肩を引かれてよろけるなんて出来ない。
やはり何かが居たのだろうか…

その日から運動公園へは行っていない。

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