枕元の足音

63 :忍法帖【Lv=65,コング】 :2014/03/22(土)03:34:55 ID:nW3aMnZfr
修学旅行の話が出たので、私も。
修学旅行で京都に行ったとき、一部屋8人で宿泊した。
長方形の部屋の真ん中に線を引いて、上下に分けた様を想像してね。その線に布団が被さらないように布団を敷いて、みんなの頭が線の方に向く
ように枕を並べたんだ。
夜中のお喋りは否応なく盛り上がった。それは私達の部屋だけでなく、他の部屋も騒がしかった
から余計に消灯時間のことなんか頭から消えていた。
でもやがて違う部屋の生徒が「見回りがそこまでもう来てる!」て教えに来てくれので、
私達はすぐに狸寝入りを始めた。でもその状況が笑えて「プー!クスクス」な声が部屋のいろんなところ
から聞こえてた。今にもみんなで爆笑しそうになっていた時、遂にドアが開く音が聞こえた。
頬の内側を噛んで笑いを必死に堪えていたら、頭の上の方から足音が聞こえてきたんだ。
はだしで畳の上を歩くと、皮膚に張り付いた畳の表面がパリパリって音を立てて剥がれるの。
その音が私の頭のすぐ上でし始めたんだ。
引率は男性教師で、私達は女生徒だったから、ものすっごい腹が立った。多感な年頃だったしね。
ドアが閉まって先生が出て行く音はしなかったから、十分に時間が経ってから私は口を開いた。
「ねえ、先生部屋の中まで入ってきたね」最悪だよね、と続けようとしたけれど、
「入ってきてないよ。ドア開けて中を覗いたらすぐ閉めていったよ」という、ドアの前に布団を敷いていた子の返事に何も言えなくなった。
みんなに話しても怖がらせるだけなので、そのことは誰にも言わないでいた。
でも、今でも本当に不思議で、あの足音が誰のものだったのか知りたい。

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