集落の北側には小さな神社

182 :ヨルム 1/2:04/06/14 11:17 ID:vEUpbE6f
おれが消防高学年の頃、ホタルの舞うような田舎の集落に住んでいて、集落の北側には小さな神社があった。 
神社にはちょっとした広場があって、錆びた遊具とかあったりした。 
そこでかんけりとかドッチボールとかして遊んでいたのだが、時々、神社の倉庫の裏からおれたちを見ている子がいた。
年齢は5歳くらいの女の子で、服はいつもボロボロでサンダルをはいていた。 
その子はおれたちが帰る時間まで、そこにいて、帰り始めるといなくなっていた。 
あるとき、おれと数人の友達でその子のあとをつけてみた。
帰る振りをして、すぐに倉庫の方へ行って、倉庫の裏からつづく道に出て、その子のうしろをつけてみた。 
道は舗装されていない、人が二人並べるくらいの道だった。やがて道は森に抜けて獣道になっていた。 

しばらく獣道を進むと、突然、その子の姿を見失った。 
スーと木陰に消える様な感じだった。 
おれたちは、その子が消えたあたりを探したが、見つからない。 
そしてもう少し先に進むと、獣道のわきに電信棒が建っているのを見つけた。 
電信棒は木で出来ていたが、もう根元は腐っていて、しかも電線は通っていなかった。 
そして、その電信棒より先に古びた瓦葺の家があった。 
おれたちはビビリながらもその家に行ってみた。 
玄関の戸は半開きの状態で傾いていて、中は、腐った天井の隙間からさし込む光で、薄暗いようだ。 
半開きの戸から中を除くと、そこはいまにでも朽ち果てそうな家で、土間から先に部屋が見えたが、そこには倒れた家具や、傾いたちゃぶ台があっ 
た。生活の感じられないその家を見て、おれらは怖くなって、あわててその場所から逃げ帰ってきた。 

おれたちはその後、大人にあの場所のことを聞いたが、それによると、あそこはナガレバサンという集落で、もう数十年以上昔から人が住んでいないとのことだった。 

あ、その日から後、その子は現れなくなったんだ。 
おれたちのことに気付いていたのだろうな。 
今は、そこに続く獣道は草と木でふさがっていて、獣道自体消滅している 
感じらし。 

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