魚さん

125 1/3 sage 2013/09/04(水) 12:24:36.59 ID:t2swaUD+0
昔、山に入って遊ぶのがマイブームだった時の事 

17歳頃だったか、山で運悪く野良犬に追いかけられてしまい 
逃げてる最中に2mくらいの高さの崖?から足を挫きつつ転げ落ちた 
アドレナリン出まくりの状態だったから恐怖とかは全く感じず 
ひぇぇぇぇぇwwwwwって思って爆笑しながら落ちた        

気がついたら石を枕にして気を失ってた 
しかも夜になってて、怒ったら2mくらい殴り飛ばされるほど 
恐ろしい父親を思い出して「やべっ早く帰らなきゃ!」って凄い焦りながら立ち上がったんだけど 
たった瞬間立ちくらみでぶっ倒れて動けなくなった 

やばいやばい…とは思うんだけど、やばいのベクトルは 
「夜の山に一人でいること」とか、「お化けが出そうなほど暗い」とかじゃなくて 
完全に「父親に殴り飛ばされる恐怖」に向かっていた 
子供の頃はとにかく親に怒られることを恐れてたからね 

さてどうしたもんか…と思っていたら、視界の端を何かが横切った 
ネズミか?と思って視線をめぐらすけど何も無い 
気のせいかと思っているとまた…といった感じで、暫く弄ばれていたと思う 
いい加減ブチ切れそうになった辺りで、「大丈夫か?」と声をかけられた 
人の気配なんて全然しなかったから、すっごいびっくりして声も出なかった 
声がした方を見ると魚の頭をつけた人が立っていた 
めだかの学校って漫画に出てくる先生みたいな感じで、すごいツヤツヤだった 
びっくりしすぎて声を失っていたら、魚の口がパクパク動き 
酒くさい臭いをさせながら、「痛い、するのか?」って喋って 
思わず「うわぁ喋った…」って言ってしまった 

魚顔だから何を考えているのかわからなかったけど 
暫く見つめあった後、「送る」と一言言って魚さんにおんぶをしてもらった 
魚だから正面は見えていないんじゃ…という不安をよそに 
魚さんはしっかりとした足取りで、子供とはいえ高校生の体をおぶって 
黙々と歩いてくれた 
本当に感謝の一言だったんだけど、なんか 
尾びれが頭を叩くんだよね 
気まぐれで動かす尾びれが、ぺちって頭に当たる 
一応頭ぶつけてるから、ちょっとした衝撃で具合が悪くなっていくので 
申し訳なさを前面に出しつつ尾びれが当たってることを伝えたら 
魚さんはちょっと思案した後、再び地面に下ろされた 
で、そのまま魚さんは歩き出した 

えぇw置いてくのかよwwと思ってたら、すいーっと体がちょっとだけ浮いて 
まっすぐ仰向けに寝た状態で魚さんの後をついていくかの様に動き出した 
わけのわからんまま暫く進んだんだけど 
薄雲を被っていた月が顔を出したときに体の下にまっくろくろすけみたいなのが 
敷き詰まってて、コロコロ転がりながら運んでくれているのが見えた 

辺りが見知った風景になってきて、無事家の近くまで辿り着けたんだけど 
もうちょっとの所で急に魚さんは立ち止まった 
どうやら山から出られないらしく、ここからは一人で行けと… 

近くまで来ていたし、体調も少しだけ回復していたので 
丁重にお礼を言って家まで自力で帰ったんだけど 
真ん中の娘が山に行ったきり、なかなか帰ってこない!ってわけで 
家に帰ってからが一番大変だった 

今にして思えば、多分あの魚さんは山の神様だったかなぁと思う 
山の神様用に用意したお土産の大吟醸が空になってたし、すごい酒臭かったから 

134 本当にあった怖い名無し sage 2013/09/04(水) 17:34:12.39 ID:5voCbBOM0
ありがとうございます 

崖と言っても、斜めの地形で落差がほぼ感じられなかったから無事だったのかと… 
吐き気とでっかいたんこぶと発熱ですみました 
父も子供の頃に遊んだ山なのですが、父は木の上から落ちて 
石に頭をぶつけ、血塗れで帰ったら親父(私の祖父)に殴られたよwと笑っていました 
石頭はばっちり遺伝したようです 
父に言われて毎回山に入るたびにお土産を持参していたのですが 
奮発して大吟醸を持って行って正解だったなぁと… 

あの山には父と私のエピソードがいっぱいあって思い出の山なのですが 
現在は親戚に掠め取られてしまったと聞きました 
残念です 

前の話へ

次の話へ