天狗への差し入れ
484 :本当にあった怖い名無し@\(^o^)/:2014/05/01(木) 17:01:28.48 ID:/1VH7Q1a0.net
猟銃抱えて山に行った。
夜明け前に到着し、夜明けと同時に行動開始したが
目当てのヤマドリが全然いない。
二つ横の山では、イノシシ(もしくは鹿)猟のチームが
元気に大騒ぎしているが、こちらは・・・。
三つの沢を攻め上って収穫無しとなると、犬も人間も
やる気が失せる。
連れとかなり遅い朝飯を食い始めた。犬にもおにぎりを
ちぎって投げてやる。五個漏ってきた大きめのおにぎりを
三個食った。
ふと昔読んだ天城地方の昔話を思い出す。
山働きする衆は、仕切る天狗に許可を貰うべく「天狗に
差し入れをした」そうだ。差し入れと言っても気軽な物で、
おにぎりを「天狗!」と大声で叫びながら梢に向かって
放り上げるだけ。落ちてこなければ天狗が受け取った。
落ちてきたら天狗の機嫌が悪いわけで、その日は撤収だと。
そんな話を聞かせた相棒がその気になった。
「天狗さん! よければ食べて!」
見かけに似合わない可愛らしい声と共に、下から上へと放り上げた。
海苔が巻かれた黒い塊が勢いよく梢を貫いて(杉の木)…落ちてこない。
木の枝に当たって落下が大きく逸れたか。でも音がしない。
揺れたのは最初に当たった枝だけだ?
首をかしげた彼がもう一つ放り上げた。 これも落ちてこない。
俺もやってみた。「塩鮭入りだぞ-。美味いよ」 落ちてこないし。
タブーを破って全部射出してみたが一つも戻ってこない。
非常食のチョコレートバーもぶん投げてみたが、結果は同じ。
天狗さんからのご褒美が貰えるか(ヤマドリ)と期待したが
ゼロだった。
「定期的に貢がないと駄目かもよ」<相棒談