扉が開く

27 雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM sage New! 2014/03/15(土) 18:31:55.82 ID:FN6cfjJH0
私の体験した話。 

学生時代に仲間と三人で、冬の山小屋に泊まった時のことだ。 
日没前から雪が降り始め、晩飯を終える頃には、小屋は雪に閉ざされていた。 
雪明かりで外がぼんやりと見渡せる。静寂が耳に痛い。 
コーヒーを湧かしながら明日のルートの話をしていると、突然音が響いた。 

 きぃぃぃぃ 

立て付けの悪い戸が開く音だ。聞き慣れた音。 
だからこそ戦慄した。この小さな小屋に、戸板と呼べる代物は二つだけ。 
どちらも目の届く範囲にあって、しっかりと閉じているのが確認できる。 

小屋中を探索してみたが、他に扉はどこにも見つけられない。 
空耳かと考えていると、再び戸が開く音がした。 
しかも、今回は続いて誰かの歩くような音までが聞こえてきた。 
どうにも落ち着かず、交代で見張りを立てて眠りにつくことにした。 

結局、その後も何度か何処かの扉が開き、誰かが歩く足音が聞こえていた。 
どうにも落ち着かず、その夜は禄に寝られなかった。 

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