按摩仏

275 :雷鳥一号 ◆jgxp0RiZOM @\(^o^)/:2015/02/07(土) 20:47:31.68 ID:xAU9oVjx0.net[3/3]

知り合いの話。 

彼の祖父はかつて猟師をしていたという。 
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。 

「按摩仏って呼ばれとる石仏があった。 
 小さな滝のすぐ傍にポツンと置かれた石仏さんだったんだけどな。 
 これに背を預けて座ると、背中をゆっくり按摩してくるんだ。 
 実に良い塩梅でな、任せているとつい眠っちまいそうになる。 
 でも、そこで寝ちゃいけねえ。 
 ちょっとでも寝入っちまえば、その途端、背中をガツンと殴られるんだ。 
 まるで、でかい掛矢(木槌)でドヤされたみたいによ。 
 痣が出来るほどだったから、大抵の者は一回こっきりで止めておくさ。 
 寝込むのを我慢すりゃ、至極気持ち良かったんだがな」 

「その石仏さんな、いつの間にか誰ぞに叩き割られて粉々になっとったわい。 
 うっかりと、柄悪い奴をド突いちまったんだろう。 
 仏さんの癖に人を見る目が無えよなァ」 
そう言って祖父さんはカラカラと笑っていた。

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