電話線の引き替え工事

533 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :04/02/05 00:50
大学時代の夏休みに電気会社の工事のバイトをしたのだが、ある現場での出来事。
晴海あたり(だったと思う)古いマンションで電話線の引き替え工事をしたのだが、
各戸の玄関脇にジャンクションボックスがあってそこまで線を引き込んでマイクを
繋いで通話の試験をするというものだった。
もちろん留守の家も多いので管理人からあらかじめマスターキーを預かって不在の
住戸も入って工事をしたのだが下の階から順に済ませてゆきながら最上階の9階
に達したのはもう夕暮れだった。
その一室は不在らしくチャイムを鳴らしても返答が無かったのでマスターで開錠し、
漏れは玄関の扉を開いた。
すると夕日で逆光になっていたが女性が後ろ向きにリビングのイスに座ってるのが
目に入った。
漏れは少し気まずい思いをしながらも居るのに返事しない方も悪いよなくらいに思い
ながら「すいません、電話線の工事に来ました、お邪魔します」と、言いながら玄関脇
のボックスで引き込んだ線の試験を済ませた。
「済みました、どうも失礼しました」
そう言うと漏れはその部屋を後にした。
暗くなる頃ようやく工事も済んで漏れが管理人にマスターキーを返しに逝ったのだが
管理人に空き家だった部屋の報告をして(後で不在だった部屋に知らせるため)いて
その9階の部屋の番号を言わなかったので管理人が「90※も不在のはずだけど?」
と言われた。
漏れは一瞬怪訝な気分に捉われたが自分の思い違いかとも思いながら「女性の方が
いらっしゃったみたいですが・・・・」と言ったところ管理人は「あんたも見たのか・・・・」と

よくよく聞いたところよくある話だが自殺者が出た部屋らしい。女性はその自殺した霊とか

確かに思い返してみると不自然な部屋だった。玄関脇から故人の遺品が詰まったと
おぼしきダンボールが積まれており玄関もうっすらとほこりが積もっているのだが足跡は
自分のものだけだった。
霊感なぞ無いと思われる自分が体験した唯一不思議な体験ですた。

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