遅れるバス

28 本当にあった怖い名無し sage 2011/08/16(火) 14:53:28.28 ID:LhdxSYa00
心霊とは違うだろうけれど一寸良かったなと思った話 

大学の頃、月に1度、深夜バス(途中PAにしか寄らない直通便)を使って旅行をしていた 
行くのは何時も同じ処、利用するバスの時間もバス停も何時も同じ 
ある晩、何時ものようにバス停に辿りついたが、待てど暮らせどバスが来ない 
定時より30分以上経ってしまった辺りで集まっていた他の客達がザワつき始めた 
(私自身はその時とても眠くて、ベンチでぐったりしたまま 
兎に角一刻も速くバスに乗りたいの一心だった) 
やがてバス会社の社員さん(?)がバス停へ来て皆を宥め始めたのだが 
肝心の「バスが来ない理由」が「よく分からない」という説明 
当然場は納まらず、客の不満を一身に受ける彼の姿は些か気の毒だった 
そこへ 
「遅くなってすいません」 
高校生くらいの可愛い女の子が大きな旅行鞄を抱えて走って来た 
同時に 
定時より遅れる事一時間半、見慣れたヘッドライトがバス停へ近づいて来る 
勝手に深く納得 

バスはこの子を待っていたんだな 
(あんな若い子が、灯りも落ちて真っ暗なバス停に茫然と立ち尽くすなんてのは流石に…だもの) 

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