出てこられない部屋

193 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/09/01 16:53
恐いというよりは、不思議体験なのかも知れませんが…。 
以前私が勤めていた病院での事です。 
私は病棟勤務の事務員で休憩時間はよく詰所の看護師と 
話をしたりして過ごしていました。ある時、看護師達が 
「最近、また患者さんからクレームきてるねぇ~」 
「うんうん。最近は○○さんがステって(※)から多くなったね~」とか 
話してるんです。(※ステルベン。死亡の意。業界用語。患者さんが亡くなった時、 
ステる、ステった、などと活用して言います。あんまり聞こえが良いとは言えませんね^^;) 
その事情を聞いてみると、個室の病室であるA室の隣の部の患者さんから、 
夜間、隣部屋(A室)がうるさくて眠れない。というクレームがしょっちゅうくるというものでした。 
しかし、患者さんからのクレームがある時はいつもA室は空き部屋なのです。 
看護師達がケロッとした態度で「また(霊?)が出はじめたね~。ヤレヤレ、コマッタナァ」 
「私、○○さん(既に亡くなっている)と廊下で会ったよ~。」などと普通に話すので、 
私はあまり恐いと思いませんでした。 
また私自身霊や超常現象を信じない方で、見たことも無いので、 
霊とか信じてる人は信じてるんだ~、と感心(?)しながら面白半分に聞いていました。 

A室というのは個室で、その病棟の病室の中では特別な部屋でした。 
「重症患者部屋」という意味合いで詰所の真向いにあり、医師、看護師が 
すぐ駆けつけられるようになっていて、呼吸器やその他、一通りの救命機器が 
常時使える状態になっている、いわばICUの個室バージョンみたいな部屋なのです。 
が、この部屋に入室する患者さんの殆どが、もう見込みの無い患者さんでした。 
個室なので亡くなったときの死後の処置等も他の患者さんに影響を与えず行える為、 
主にそういった患者さんを入室させる為に使っていた部屋で、 
いわばA室は「一度入ったら生きては出てこられない部屋」でした。 

ある日、詰所にA室の隣部屋の患者さんが来られました。 
看護師が出払ってましたので私が応対に当たりました。 
患者さん:「あの~、夕べ隣(A室)が、凄く騒がしかったんですが…。」 
私:「ああ、A室は救急の処置室ですので、夜間に器材などの音がする場合も 
ございます。もし転室をご希望でしたら師長に…」 
患者さん:「いえあの、器材の音とかじゃなく、なんかお祭り騒ぎというか、 
どんちゃん騒ぎというか、笑い声もして、大人数で騒いでいる感じで。 
病院らしくないし、ヘンだから…。」 

当時A室は空き部屋でした。全然恐くないですね。スマソ。 

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