呪いのビデオ
158 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/08/31 19:52
ある男が、友人から「呪いのビデオ」を借りた。男が「どんな内容なの?」と聞くと、友人は「実は怖くて見れなかったんだよ…ハハ」といった。
友人曰く、くだんのビデオは先輩から貰ったらしい。その先輩も怖くて見れなかった。なんでかというと、
その先輩の前にビデオを持っていた人が、ビデオをデッキに入れたまま、家に上がりこんできたキチガイ通り魔に殺されてしまっていたらしい。
犯人はまだ逃走中だとか。先輩は面白半分で遺品としてもらったが、結局怖くて見れなかった、ということだった。
男は内心で「どうせ嘘だろ?これを見れれば俺の男気も上がるってもんだ」と思っていた。
そして自宅二階の自室のビデオデッキで一人で呪いのビデオを見始めた。
ビデオの内容はこんな感じ。
手に鎌を持った女がどこかの道をもの凄いスピードで走っている。
しかし男は妙なことにそこに写っている風景に見覚えがあった。
ビデオの女は息を切らしながらどこかを目指し迷うことなく走ってきているようだった。
男は次第に怖くなってきた。そして女はある一軒の家の前でとまった。
男はとうとう気づいた。
「俺の家だ…」
と同時に玄関が勢い良く開く音が聞こえた。画面の女もその家の玄関を開けて駆け込んでいった。
男は急いでビデオデッキからビデオを取り出そうとした。しかし出てこないどころか停止もできない。
そのとき、男は階段を駆け上がってくる足音を聞いた
男は、張り詰めていた緊張が緩むのを感じた。中腰の姿勢から崩れ落ち、乱れた正座で座り込んだ。
ビデオはまだ続いていた。女の後ろを追いかけながら撮影するハンディカムも映像は、手ぶれ激しく、
見ているだけで酔いそうになるほどだった。
うつろな目で、ビデオを見つめていると、女の右手に何かが握られているのが解った。
しかしゆれる画面の右隅の視界に、ちらちらと映っては消え、映っては消えているため、
何が握られているのか判別できない。
画面の中の女は上りきった階段の、直ぐ脇にあるドアを開けた。
そのドアのガチャという音が、妙に大きかった。ビデオの音声と言うより、男は自分の真後ろで音がしたような気がして振り向いた。