おてんぐ山

60 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/15(水) 16:26:12.00 ID:SFQVaQqX0
子供のころ、数日間田舎にあずけられることがあった。 
群馬の山間部にある、比較的大きな家で、裏には『おてんぐ山』と呼ばれているじいちゃんの持山があった。 
やることがないと、その山で落ちているセミをとったり、ウロウロと歩き回ったりして時間を潰していた。 
だが、絶対に山頂に向かってはいけないと言われていて、ある場所から奥へは入ったことがなかった。
迷子になりそうだったので、それより奥に行こうとも思わなかった。 

ある時、おてんぐ山で遊んでいると、不意に男の子が現れた。 
僕よりいくつか年上で、多分小学四年生くらいだろうか。 
せみの取り方を教えてくれて、もっといい場所があると促され、僕ははじめて山の奥に足を踏み入れた。 
途中のことはあまり覚えていないが、着いたのはおてんぐ山の山頂だった。 
小さく狭い山頂には、古いがわりと立派な祠のようなものが建ててあった。
セミをとるのにい居場所とは思えないが、その祠をみて、何か新発見をしたような満足感を感じていたと思う。 
しかし、時刻はすでに夕刻で、山頂も薄暗くなりかけており、戻る道はもう暗くなっているようだったため、早く帰ろうと思っていた。 
そう申し出ても、男の子は祠を開けて、中の床板を剥がしてほしいと懇願するので、祠の扉を開いた。中にはこれといって石仏や観音の類いもなく、がらんとして埃ぽかった。 
床板は剥がせない、と渋って見せたが、彼が言うには、床板の下には何か宝物があるらしい。 

苦労して床板の一部を何とか開けることができた。 
中には、薄っぺらくてボロボロに錆びた刀剣のようなものがいくつかと、古銭が散らかっていた。 
錆びてガスガスだけど本物の刀だと思い、興奮したが、子供の手でも容易に折れるほど朽ちていた。 
もっといいものはないかと奥をのぞきこんだが、暗くてよく見えず、見える範囲では目新しいものはなかった。 
もっと開けてほしいと頼まれたが、祠を壊すことの祟りや叱責を恐れるべきと、もう暗くなってきたことを理由に拒んだ。 
男の子はがっかりした様子だったが、僕に古銭を何枚かよこして、ありがとうと言って、一本道だったが、帰る道筋をおしえてくれた。 
不安だったので、一緒に帰ろうと言ったが、一緒には行けないと言われた。 
祠はなおしておくから心配無用とのことだったので、僕は暗い山道を懸命に戻った。 
途中で心配して探しに出たじいちゃんと出会い、おんぶしてもらって山を降りた。 
庭先にはばあちゃんが心配そうに待っていて、ああよかったと安堵しながら、手に何を持っているのと尋ねきた。 
昔のお金、これ本物だよね? 
と価値の確認のために古銭を見せると 
二人の顔色が変わった。 
男の子がいて、二人で遊んだ事や、祠を見つけたことなどを話し、古銭は彼にもらったものだと話した。 

じいちゃんは、他に何を話したか、何か約束をしたか、彼は名を名乗ったか、などを執拗に問いただしたが、具体的なことになると、何故か遠い昔の記憶の様に曖昧であった。 

もう、おてんぐ山にのぼってはいけないと釘をさされ、以降おてんぐ山には行っていない。 

以上。 
長い割に内容がなくてすまん。 

66 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/15(水) 18:25:01.41 ID:f9/uddXCO
その男の子は山の神なのか 
祠の下を探していたのはどうしてか 
尋ねてみてくれ 

話はそれからだ 

67 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/15(水) 18:45:01.08 ID:SFQVaQqX0
男の子に禍々しい印象はないが 
神仏の類いにしては何か弱々しく 
祖父母の警戒の仕方が変だと思う。 
床下の下には宝物があるといっていたが 
それが何か、或いは本当なのかは不明。 
祖父母はすでに他界し、 
両親に聞いても、おてんぐ山の山頂に祠があることも知らない。 

もう何十年もたったので今さら真相究明もするきはないが、ついでがあれば田舎に行って山にのぼって 見よう。 


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