封印

89 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage New! 04/03/27 22:18
友人の話。 

仲間二人で山歩きをしている時に、いきなりの豪雨に見まわれた。 
日が落ちても野営に適した場所が見つけられず、へとへとになっていた。 
やがて道の脇に小さなお堂を見つけ、軒の下にもぐり込んだという。 
雨合羽を脱ぐと、軒下でそのまま眠ってしまったそうだ。 

翌朝、目を覚ますと雨は既に上がっていた。 
一つ伸びをしてあたりを見回すと、昨夜は気がつかなかったものに気がついた。 
お堂の扉一面に、白地に赤で書かれた古いお札がびっしりと貼られていた。 

扉に近づくと、中から何か音が聞こえた。 
コツコツという音がこちらに近づいてくる。 
扉がぐっと開きかけた。 
お札を破ることができないのか、扉は開かず、お堂の中もまた静かになった。 

彼は眠り込んでいる仲間をたたき起こして、そこを発ったそうだ。  

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