山中異界

652 さの死蝋 ◆WhpEztJj9g sage 04/04/19 18:46 ID:oetm1ESC
去年の夏の終わりの事です。 
一人車で明け方の朝日を浴びて林道を走っていたとき、ちょっと不思議なことがありました。 

車から降りて、小用を足していると 
急に霧というか、もやが出てきました。 


静かです。さっきまでセミやたくさんの蜻蛉が居たのに、何も居ません。 
燦々とした朝日も、どこかに消えてしまい、見えません。 


こーん。 

…遠くでガードレールを叩く音がしました。 
霧はだんだん深くなってきます。 

こーん…。 

遠ざかり、近づくガードレールの振動。だんだんと近くなってきている。 
耳が痛いほどの静寂の中で、それだけが、近づいてくる。ゆっくり。 
もやのせいで遠くは見えません。 

ガードレールに寄りかかっているのが怖くなりました。車に戻り、魔物よけに一服して 
ゆっくりと発進。 

一分も走らないうちに、また突然晴れました。セミがうるさいくらいです。 
腕がひりひりするほどの日差し。 

山中異界。ふとしたところにあるです。 

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