怖がる

917 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage New! 2012/12/21(金) 18:36:00.14 ID:TJmuYOVv0
同級生の話。 

夜中の峠道をバイクで走っていた時、エンジントラブルに見舞われた。 
降りて具合を調べていると、背後に人の気配がフッと湧いた。 
同時に金縛りに襲われ、動きがまったく取れなくなる。 

焦っていると、ひたひたという、裸足で歩いているような足音が近づいてきた。 
そしてまだ幼い女の子の声が、背中のすぐ後ろから呼び掛けてくる。 
「……ねぇ寒いの……寒いの……オジサン」 

「誰がオジサンじゃっ! ワシャあ、まだお兄さんじゃわい!」 
思わずそんな怒鳴り声を上げていた。 

次の瞬間、金縛りは嘘のように解け、普通に動けるようになっていた。 
慌てて振り向いてみると、そこには誰もいない。 
しばらく辺りを窺ってみたが、それ以上は何も起こる様子もなかった。 
エンジンをかけると問題なく起動したので、サッサとそこから逃げ出したという。 

「真夜中で暗いし、ワシ以外には誰もおらんかったからのぅ。 
 前から出るという噂の峠じゃったし、ホンマにぶち怖かったんじゃ」 
彼はそう言って怖がっていたが、 
「……いやどう考えても、お前の方が幽霊?を怖がらせたと思うんじゃけど」 
私にそう指摘されて「えっ?」と驚いた顔をした。 

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