『バカヤロー』と『ふざけるな』

929 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/06/28 15:09
週刊文春連載  室井 滋の「すっぴん魂」より 

その日はドラマの撮影をしていた。 
共演者の男性が「ふざけるな」という台詞を言った時 
役者の台詞と台本をチェックしていたスタッフが待ったをかけた。 
「○○さん!そこは『バカヤロー!』ではなく『ふざけるな』ですよ」 
台詞を言った俳優は慌てて否定した。 
「私はバカヤローなんて言ってませんよ!」 
室井滋にも、ちゃんと「ふざけるな」と聞こえた。しかしスタッフは引き下がらない。 
「いいえ、バカヤローとおっしゃいましたよ」 

そんな馬鹿なと室井は思ったが、スタッフもプロだ。 
「バカヤロー」と「ふざけるな」は一文字も合っておらず、 
聞き間違えるはずがないのだ。 
そのうち監督が何事だと近寄ってくる。 
全員にわけを話すと、驚いたことに撮影現場は 
「ふざけるな」派と「バカヤロー」派に二分される。 

結局、話をしていても埒があかないので 
モニターで問題箇所を見てみましょう、という事になった。 
全員がモニターの前に集まり、再生されたシーンを食い入るように見つめる。 
すると、やはり「ふざけるな」派と「バカヤロー」派に分かれるのだった。 

現場は混乱した。これでは撮影にならない。しかし、監督が 
台本どおり「ふざけるな」と聞こえたと言うので、撮り直しはしなかった。 

だが、それからも現場は混乱続きだった。室井自身も「脚」と言ったはずが 
他の人には「腕」と聞こえたり、聞き違いが幾度と続いた。 
そうするうちに、いつの間にかスタッフにも耐性がついてきて 
聞き違いがあってもそのまま撮影を進めるようになった。 

これがスタジオという場所と関係あるのかは分からない。 
果たして、後日放送されるドラマは、視聴者には 
どんな台詞で聞こえるのだろうか…。 

わりと最近に載っていたエピソードです。 
2時間ドラマらしいのですが、観た方いらっしゃるでしょうか? 
凄く気になってたんだけどドラマの題名が無かったしなぁ。 

ちなみに台詞は「バカヤロー」「ふざけるな」だったと思うのですが 
どっちが正しい台詞だったかは全く覚えておりません(´・ω・`) 

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