豊作の夜
111 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ sage 2012/12/29(土) 01:18:46.21 ID:eq9mOgIr0
知り合いの話。
彼は山で林檎農家を営んでいるのだが、かつて奇妙なことがあったという。
真夜中に、誰かが扉を叩く音がする。
誰かと問えば「みのっておるんじゃぁ」とのみ返事があった。
そこで戸を開けてみると、そこには誰の姿も見つけられない。
ただ、よく熟した林檎の実が一個、ぽつんと目の前に落ちていた。
その年は大豊作のため、数量調整で実を採らないでいた木が何本かあったらしい。
その実をすべて採ってしまうまで、不思議な声は毎晩のように家を訪ったそうだ。