待望の我が家

506 名前:あなたの後ろに名無しさんが・・・ :03/06/12 17:43
小学生の時、住んでいた所は社宅だった。 
1DK、2DK、平屋、2階建てとちょっと大きな社宅住宅街だった。 
その頃住んでいたところは1DKのアパートだった。 
皆同じ会社に勤めていたからちょっとした情報も入り込んだりしていた。 
丁度その頃通っていた小学校には養護学級というのがあって 
知恵遅れの子供が沢山通っていた。 
その中にK君という子がいた。 
K君は同じ社宅に住んでいる子供だった。K君はいつも一人で学校に 
通っていて、一人でふらふらと歩いているのを友達と遠巻きに眺めていた。 
6年生になったある日、帰りでまたK君を見つけた。 
その時、一緒にいた友人がK君に話し掛けた。

話し掛けたことは、何でも無いようなことと思う。 
「Kくう~ん、今、帰り?」とか、「いつも一人で帰ってるの?」とか、 
友人が話し掛けていた。 
と、途端に、K君が泣き始めた。おろおろする友人と、「どうしたの?」と 
聞いていると、通りかかったらしいおばさんが、ヒステリックに怒鳴りはじめた。 
「あんたたちが泣かしたの?」と自分たちに詰め寄ってきた。 
「違うんです!」と言ってもヒステリーなおばさんは聞いてもくれず、「学校にいっとかなきゃね」 
と言って、う~う~。と唸るような泣き方をしたK君をあやしながら、自分達の 
学年と組を聞いてきた。友人と自分は怖くなって逃げ出した。 
そんなことがあってから、K君を見たら、いつも逃げるように視界に入らないように 
離れていた。 
中学生になってから、父の昇進を告げられた自分は、初めて家に住めると聞き、 
有頂天になっていた。引越しの日、学校を早引きしてから自分の部屋になる 
6畳の部屋に荷物を運んで、廊下の突き当たりの天井に近い所に物入れを発見した自分は 
そこにも荷物を置こうと椅子を持って上を覗いた。 
左の、白い壁の部分にひらがなで 
   ば け も の の す む い え 
と書かれていた。その字を見た途端にぞっとし、お母さんに、 
「お母さん、前住んでた人って・・・?」と聞いた。 
母は、「ああ、Kさんって人よ。」と教えてくれた。 
10年以上たっても忘れられない。 

前の話へ

次の話へ