多数決

986 あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/11/26 12:57
小学校の行事で奥日光にハイキングに行き、道に迷った。 
一度通ったらしき場所に出てしまっていた。 
で、分岐点でどっちに行くか、多数決で決めることにした。 
高学年だったので、コース取りは生徒の判断だった。 
まだ時間的に余裕があったのだろう、引率の教師は成り行きを見守っていた。 

生徒は11人。 
意見は8対3に分かれ、多数派の意見に従ったが、結局基の場所に。 
また多数決をし、多数派に従ったが、予定の道には出られなかった。 
不思議なことに、意見は常に8対3に分かれる。そのメンバー構成も同じ。 

五回か六回、決を採ったかと思う。 
少数派の私としては、何故自分と違う意見が多いのか、理解できなかった。 
教師の顔色をうかがったが、たぶん彼女も多数派だったと思う。 

あまりはっきり意見が分かれるので、少し気味が悪くなってきたころ、 
少数派の言う方向を試してみようということになった。 
全員が心細くなってきたんだと思う。 

そうしたら、すぐにハイキングコースに出ることが出来た。 
距離にして10メートルほどだったと思う。 
多数派と少数派は、普段からのグループではなかった。 
というか、私の他の二人は、クラスでも仲が悪いことで有名だった。 

思いつく共通点と言えば、全員が早生まれということ。 
「戌年生まれなのよね、あなたたちは」 
朗らかに教師は言った。 
一応、キリスト教系の学校の教師だろ、あんた。 
そう思った。 

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