露営

187 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 03/02/02 01:31
学生時代、一人で山に行き、適当な場所で勝手にテントを張った。 
近くにはキャンプ場があり、悪い事ながら、こそこそと水など 
汲むには丁度良い。 
ふと散歩を思い立ち、川にかかる橋を渡ると地面が締まった 
平坦な場所に出たが、そこはかなり古い墓地だった。 
鎌倉時代を思わせる石塔を眺めるうち、その墓地にテントを 
張りたくなってしまった。 
墓地での露営など考えたくもないし、気色悪いという思いは無論あった。 

テントを張った場所に戻る頃には雨が降り始め、さきほどの 
巨木に囲まれた、平坦な地面がどうにも恋しい。 
テントを大雑把にたたみ、その墓地に向かおうとした瞬間、ふと思った。 

なぜ墓地で一夜を明かしたいんだ? 
なぜそんな気持になったんだ? 

恐怖とは違う不思議な感情に捉えられ、下山を決意した。 
すでにバスは無い。 
夜の雨の中、麓まで歩けば3時間はかかるだろう。 
それでも俺は麓を目指して歩き始め、最後はほとんど 
走り出さんばかりになっていた。 

なぜ、あの時に限って墓地で露営したくなったのか。 
怖いというより不思議な感じだ。 

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