122 全裸隊 ◆CH99uyNUDE 03/01/14 15:37
穂高の稜線を歩いていると、下の方に重たげな雲が湧いてきた。 
俺達の所まで雲は届かず、雲の上に顔を出した稜線を歩いている格好だ。 

何か聞こえる。 
金属音、ピーン、とかキーンとか、ジジジ・・そんな音。 
足元を見る、雲は厚みと密度を増している。 
間違いなく雷が来る。 
落雷は下にだけ行くとは限らない。 
そして、手には金属のピッケルを握り、テントのポール、 
ペグ(テント固定用の金具)、食器といった金属類がザックに 
詰まっている。 

先頭を歩いていた俺は、全員に身体から外せる限りの金属を外して 
稜線に一まとめにするよう指示し、できるだけそこから離れた。 
周りでも他の登山者があたふたしている。 
しばらくするうち、雲を集めた気流が変わったのか、雲は薄くなり始め 
俺達は再び荷物を身に着け、歩き始めた。 

落雷事故もなく、これといった悲劇が起こったわけでもないが 
なかなか怖かった。 

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