最後のお別れ

215 名前: ちょっと長いです 2001/05/24(木) 00:48 

私が飼っていた犬(やむこ、あだ名です)の話です。 
中学生のころ、父の知り合いの家で生まれたのを見に行って、 
とてもかわいく、即つれて帰りました。 
学校から帰ると、毎日散歩に連れ出して、私が探してほしくて、 
かくれんぼばかりして、犬を困らせていました。 
次の年に、かわいい子犬を4匹産みました。 
そのうちの一匹は、誰にももらわれず、うちで育てることになりました。 
そんなこんなで大学卒業まで、すっと2匹といっしょにいました。 
私が大学院に進学するために実家を離れ、家をでた一ヵ月後、やむこは 
糖尿病で目が見えなくなりました。インシュリン注射をしてあげたかった 
のですがなにせ学生で、生活費もなく、なけなしのバイト代をかき集めて 
病院に連れて行ってもらう毎日でした。 
 私にできることは、ちょくちょく実家に帰って目が見えなくなったやむこ 
の世話をすることぐらいでした。実家は、玄関までに、用水路がかかった橋があって、 
やむこは、目が見えなくなってから、散歩のたびにそこを通るのがとても怖かったようです。 
私がいるときは、いつも抱っこして通っていました。 

その年の12月のある晩、私は実家に向かうフェリーの中でやむこの夢を見ました。 
畳の部屋に、私のジャンパーが置いてあり、それをめくるとやむこがおすわりして 
ニコニコしながら尻尾を振っているのです。若いころの、元気な姿で。 
私が「どうしたのー?ここまで遠かったでしょ?」といって手を差しのべ、頭を 
なでると、にこにこしていました。 
 その日の晩は、とても疲れていたのに寝苦しく、また冬だというのに体が熱く、 
寝付いたのは明け方でした。 
 目がさめて、一日が何事もなく過ぎ、夜に実家に明日帰ると電話をすると、やむこ 
が朝、起きたら冷たくなっていたと母から告げられました。 
 私は号泣しました。次の日、実家に帰り、やむこがいなくなった場所にぽつんと一匹残された 
子供の犬をなでながら、あと2日がんばってくれたら・・・と、泣きに泣きました。 
しかし、子供の犬をなでながら、やむこが、「私は子犬を残したわ。だから○○ちゃん泣かないで」 
といっているような気がしてたまりませんでした。 
実際、子犬の存在は私の大きな心の支えです。(もうばあちゃん犬ですが) 
 やむこは、最後に私にお別れを言いに着てくれたようなきがしてなりません。 
やむこは12月生まれだったので、誕生日に、神様が糖尿病の苦しみから解放してくれたの 
かもしれません。やむこ。いい思い出をありがとう。ずっと忘れないよ。 

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