留守電

162 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 2001/05/17(木) 21:47 

すいません、ちょっと長くなりますが書かせてもらいます。 

僕にはかけがえの無い友人がいます。 
ここではあえて「います」と言わせてもらいますが、 
その友人はすでに亡くなってしまっています。 

まず、その友人M君の事に付いてお話します。 
その友人とは幼稚園の頃からの縁で、虐められっ子で 
いつも泣いていた僕にやさしくしてくれてました。 

中学の時、バスケットボール部に仮入部した 
僕は練習のせいで、家までの遠い道のりを 
夜遅くに心細く帰っていました。 
その頃の僕にとっては、こんな遅い時間に外を歩いた事もなく 
徒歩で家までの道のりを心細く帰っていました。 

そこに僕の友人たちが自転車で通りかかりました。 
M君は僕を見ると、すでに二人乗りしてる自転車に「乗れよ」と声をかけ 
三人乗りして僕を家まで送ってくれました。 
当時の子供の体力で言うと、それはとても辛かったと想い。 
彼の行為に僕は涙を流しました。 

中学を卒業し、M君と別れ別れになった僕が 
最後にM君にあったのは街の本屋さんでした。 

「よっ、T(僕です)!」 
「ああ、M君久しぶり!」 

これが僕と友人M君が交わした最後の言葉になりました。 
まさか、これが最後に彼に会う瞬間だったとは想いもよりませんでした。 

高校を卒業した僕は都内の某ソフトハウスに就職し、 
そのまま東京での生活を送っていました。 

4月のある晴れた日。時間を見ようとしてケータイ(P207)を見たのですが 
普通に表示されていた画面が、なにも触ってないのに急におかしくなりました。 
一回電源を切りなおしてみると元に戻ったのですが、 
さっきまでは無かった留守電が一件入っていました。 
僕はてっきり電話を再起動している間に着信があったものと思い、 
留守電を聞いてみました。 

しかし、留守電にはハァハァ息をついてる音と 
とぎれとぎれ、なにかを言ってる感じでとても聞き取れず 
気持ち悪く思った僕はその留守電を消去してしまいました。 

今思うと、消去したのは間違いでした。ごめんなさい。(友人一同へ) 

それから数ヶ月後、夕食を作っていたら 
風も無いのにいきなりヤカンの火が消え、 
電話がけたたましく鳴り響きました。 
こういう事は昔からよくある事でしたので、 
電話にでた僕は電話して来た弟にまず、 
「誰が死んだんだ?」 
と聞きました。弟は少しビックリしてM君の死の事を僕に告げました。 
それから1日くらい泣きました。 

M君は東京にでてきてたらしく、ビルから飛び降りて自殺したんだそうです。 
M君の母親は、少し精神の方を煩っていてそれを苦にしたとか言うのを聞きました。 
M君の死はM君の母親に告げられる事無く、M君はお葬式をあげられないままになってるなどと、 
故郷の話をいろいろ聞きましたが、東京にいる僕にはどれが本当の事なのか結局わかりませんでした。 

そして2年前の8月12日。 
その日、会社から帰った僕は高熱を出し、 
部屋に着くなり玄関のところに倒れてしまいました。 
そして気を失ってしまいました。 

途中、一度だけ目が覚めたのですが、 
何故かベットの中に居て、 
部屋の中にM君が居るのがなんとなく分かり、 
僕が再び目が冷ますと、僕はベットの中で寝巻きに着替えて寝てました。 
気分はまだ悪かったですが、亡き友人の行為に僕は涙を流しました。 
あの時、もしもM君が来てくれなかったら 
一人暮しで、玄関に倒れてた僕はそのまま逝ってしまったかもしれません。 

最近になって気がついた(情けない)事なんですが 
友人M君の亡くなった時期と、僕のケータイがおかしくなった時期が 
ぴったり合う事に気がつきました。 
きっとM君は最後のメッセージを僕に残したかったんだろうけど 
その時の僕にはそれを理解する事ができませんでした。 
それは今でも悔やんでます。 

20歳の時の成人式の会場で名簿にM君の名前が外され、 
話にもあんまり出なかった(皆気を使って出さなかった)ので 
この話は同じクラスの皆には話しませんでしたが、 
世の中にはこういう話もあるんだぁという事です。 
長くなりました。文章も変でごめんなさい。 
お話はこれで終わりです。 

でも友人のM君は今も僕の中に、 
僕の友人たちの中に生きつづけてます。 
彼の事は生涯忘れないと思いながら話を〆されて頂きます。 

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