廃墟の違和感の理由

606 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/05/09 16:44
地元にある心霊スポットにいってきました 
なんてことないただの廃墟となった一軒家だとは思っていたのですが、どことなく違和感を感じました 
それもそのはず玄関のドアノブが右側についていたのです。自分がドアの左側にたってたとか実は内側だった、とかでなく 
まさかと思いながらもドアノブを回しつつドアを押してみました。予想通りドアは家の中に向かって開いたのです。 
家の中のドアならいざしらず、玄関のドアが中に向かって開いたのは初めてだったのでかなりびっくりしました。 

 私はほかにこういった玄関の家をみたことがないのですが、みなさんいかがでしょう? 
障害者の方の家なら、こういうのもあるのではないかな?と思っているのですが。 

608 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ :03/05/09 18:35
>>606 
俺もそういう家を知っている。作り話ではない。 

―もう二十年近く昔、当時小学生だった俺の住んでいたのは地方都市の郊外、 
丘陵地にある新興の住宅地だった。 

俺の家はその中央を走るバスの走る通り沿いだが、俺の家から道沿いに百メートルも 
行かない場所。周りの家と同じ広さの区画を持った土地、乾いた土とまばらに茂る草… 
普通なら空き地と呼ぶ所だが―そこには家があった。 

不釣合いに小さな家。合板張りの外壁を持った、安っぽい、当時としても一世代前の 
県営住宅を思い起こさせる長方形の平屋の家。新興住宅だからせいぜい築数年なのに。 
税金対策で建てられたかのような家だったが、毎日通学で前を通る俺、いや僕は時折 
思いだしたかの様に住人、独りの老婆が出入りするのを知っていた。 

だが数年が経ち、僕も高学年になりその老婆をいつしか目にする事も無くなっていた。 
―そんなある日の事だ。いつもの様に悪友達とその前を通るとその一人が叫んだのだ。 
「おい、開いてるぜ」 
その家は角地で、通りから裏に入る枝道に面して引き戸の玄関があったのだが、 
周りに開けた空間があり、そして通りに長方形の長辺を晒す壁の真ん中に、 
その家にはもう一つ、自らの存在を誇示する扉があった。 
勝手口。勝手口というイメージとはかけ離れ、玄関を霞ませてそこに存在する。 

その鍵が開いているのだ。僅かに扉が開いている。 
丘陵地ゆえに存在する崖に穴を掘って基地を作ったり、火遊びをする悪ガキだった僕達は 
恐れる事も無く敷地に入り込むとその扉を開いた。 

…そこには予想だにしない光景が広がっていた。 

白い物体。 
こちらに背中を向ける形で。 
和風の。 

便器。和式便器。普通ならタタキのある場所に便所。当時でも厚手の奴が 
普通だったのに安っぽい薄手の和式便器。でも水洗。銀色のパイプ出てる。 
でも水洗だから怖いの。何故って。 

正面。 
正面に。 

―金隠しとパイプを跨ぐ格好で室内への扉があったから。 

設計施工した奴が怖え。 

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